大人になると物事を大局的に見るようになってしまう

 キン肉マン、毎週毎週面白いですね。ゆでたまご先生はここへ来て漫画家としてさらにランクを上げていると思います。
 そんなキン肉マン、今週のラストでようやくスプリングマンが参戦しましたが、あのラストカットを見た時にドキッとしてしまいました。どうやら私は自分の思っていた以上にスプリングマンが好きだったようです。これが恋なのかと。しかしこれからの展開を見るに、スプリングマンが勝つ姿がどうしても想像できません。なので、すっかり放置していたこの日記でスプリングマンの勝利を妄想してみることにしました。


 スプリングマンが勝てないという根拠ですが、まずこのステージが始まってから既に二連勝しているという事実があります。バッファローマンは「正悪連合としては二連勝だが、悪魔としてはまだ勝負がついてない」とフォローしているものの、ここでスプリングマンが勝つと完璧超人が三連敗になってしまい、さすがに「完璧」としての格が落ちてしまいます。ドラマの流れとしても面白くないので、ここで「誰か」には負けてもらわないといけないのです。
 理由はまだあります。それは、正義超人側の層の薄さ。ジェロニモを二回もかませ犬にしていることからもわかるように、正義超人はまともに戦えるメンツが非常に少ないのです。現状からさらに追加できるとすれば、せいぜいウルフマンかジェシー・メイビアぐらいでしょう(なんでウルフマンは国技館に来なかったの?)。少数精鋭と言えば聞こえは良いですが、要はそれだけ一人ひとりが負けられないということです。たとえ勝ったとしても、ここで下手に負傷すると次の戦いでリタイアしてしまいます。今のメンバーで言えば、見るからに重要人物である完肉マンことネメシスと当たっているロビンマスクは負けてしまうかもしれませんが、(まだ迷路から出てこれない)ウォーズマンまで負けてしまうと後々の流れに支障をきたしてしまいます。というかウォーズマンは制限時間の関係で、初戦で勝っておかないと見せ場無しで終わってしまう可能性があります(初代の時点ではロクな扱いされてないし、勝ってほしい)。なので、やっぱり勝敗のバランスを取るために悪魔超人側が負けるのは自然な流れと言えます。
 じゃあその悪魔超人はどうなのかと言えば、こちらはまだ悪魔六騎士が控えているので、単なるヒラ悪魔があんまり出番を引っ張ると不都合が生じます。まあ普通に生き残って六騎士登場の流れでも良いんでしょうが、二ステージ目に来ても全く現れない以上、ここへ来てもう一人ぐらいは犠牲者が出ないと六騎士さらには将軍様の重い腰も上がらないように思えるのです。じゃあそこで誰が犠牲者になるかと言えば、正義と悪魔のどっちにも立てるという意味で重要なバッファローマンはありえないわけで、特にドラマも無いスプリングマンは丁度良い存在なのです。
 もう一人、既に一勝してボロボロのブラックホールの存在もありますが、ゆで先生のインタビューによると四次元殺法コンビの相方であるペンタゴンの登場が内定しているので、ブラックホールは負けつつもペンタゴンにクロノスチェンジして続行、みたいな流れがあるような気がしてなりません。タイルマンなんかよりもよっぽど有名なペンタゴンが今まで姿すら見せないのはそれを狙ってるとしか思えませんので。ていうかペンタゴンは正義なのか悪魔なのかいい加減ハッキリ決めてほしいところです。
 まだ忘れてはいけないところに、ネプチューンマンのような「親正義超人派閥」というべき存在もあります。かつてネプチューンマンを蘇生させたグレイト・ハリケーン、フィッシングマン、キャッチマンのように、完璧超人も一枚岩ではなく何者かがネプチューンマンを救出して参戦という可能性もありますし、まだ新・超人大全集の中でしか登場していない王位争奪編に登場した超人も参戦の可能性はあります。ただ王位争奪編の超人に関しては所属が曖昧なので、今回の話に絡むかどうかは微妙なんですが(設定では決まっていても本編で設定が出ていなければ反映させない可能性大)。
 スプリングマン自身にも負けそうな要素はあります。まず、見せ場自体はスプリングバズーカで既にあったということ。これはゆで先生のさじ加減(スプリングマンに対する思い入れ)にもよるのですが、あれだけカッコよく描かれたスプリングバズーカが見れればもう良いやと思っている自分もちょっといるので、ここで負けてしまうのはありうる気もするのです。ちょっと前まではスプリングマンが出てくるだけ、試合になるだけで驚愕だったんですから、若干贅沢になっているのかもしれません。
 もう一つは、相手であるグリムリパーのこと。マッチョあるいは異形だらけの肉世界において珍しい紳士的な出で立ちを一回で殺すのは惜しいというのもありますし、投げ技関節技無効というプロレスにおいて絶対的な強みがあるスプリングマンに対し、グリムリパーが使うのはキル・ハットなる斬撃技であり、その異名は何が出るかわからない「完幻」。こんな相性の悪さですから、グリムリパーがデビル・トムボーイでバラバラ死体になるよりは、スプリングマン自身がバラバラにされる方が可能性が高いと思うのです。10日以内にくっつければ復活するでしょうか。


 長々と敗因を予想してみましたが、一方で勝因もあります。それは、今回のテーマが単なる勝敗ではなく、イデオロギーの対立を描いている面が強いということです。昔の完璧超人は「完璧ゆえに敗北は許されない」というものでしたが、今回の完璧・無量大数軍は「敗北した者は自害する」という掟に若干変わっています。これは似ているようで全然違って、無量大数軍はたとえ負けても自害すれば完璧超人として失格ではなく、その格は守られると解釈されています。それは最初に自害したマックス・ラジアルとそれを評価したストロング・ザ・武道によって証明されています。そして今回のラーメンマンマーベラスにしても、マーベラスを失神させて自害させないように倒したラーメンマンという辺りに正義超人なりの戦い方を描いています。ブロッケンJr.のことはわすれろ、そうすればおまえはつよくなる…。だからこそ、自害する前に惨殺したブラックホールが悪魔超人として相応しいキャラになっているのであり、完璧超人にしてみれば連敗しても他の超人を抹殺できれば良いと考えることができるのです。まあ、あんまり負けると「完璧」の名が泣きますが。
 また、完璧超人自体が1000人の本隊がいたという設定ですから、ドンドン負けても次々と投入できます。武道やネメシスに並ぶような幹部クラスあるいは強烈な因縁を持つキャラはなかなか使い回しできませんが、他の連中ならばそうでもありませんから、グリムリパー程度なら負けても良いという風に考えることも可能です。
 あと、これは特にひどい妄想なんですが、マーベラスの肩の竜がサタンクロスのような合体超人である可能性。竜が別の意思を持っているのは今週はおろか先週から描かれていますし、一方で修行時代には竜がいないことから、何らかの理由でマーベラスが肩に竜を住ませていたところ、今回マーベラスが死んだことで改めて竜がマーベラスを乗っ取ってラーメンマンを倒すという展開も無くはないと思うのです。ラーメンマンが負ける姿自体あまり想像できないという難点はあるのですが、割とキャラが立っていたマーベラスをこのまま死なせるのも惜しいですし、何しろ竜を「自害のギミック」にしか使わないのも変なので、ここで何かしら波乱があればその分他が勝利してもバランスは取れるのではないかと思ったりなんかしちゃったりして。
 あと単純な話、せっかくバッファローマンと一緒に大物の風格を漂わせて登場し、他の仲間を観戦するという一段上の立場を得て、しかもずっと勝負の時を焦らしていたので、勝ってくれないと格が大幅に落ちてしまいます。ここで負けたら鳴り物入りで登場したのに戦績はパッとしないままフェードアウト寸前のウルフマンと同格にすらなってしまうかもしれませんし、そのウルフマンはスプリングマンに一度殺されている以上、スプリングマンが負けるということはウルフマンの格も落ちるということですから、とにかく勝ってくれないと困るのです。ラーメンマンがここに来てブロッケンマンを高く評価したように(Jr.を奮い立たせるためにだいぶ盛ってる気はしますが)、派手に勝利した上で「こんなんだったらウルフマンの方が強敵だったぜ」みたいなリップサービスを期待します。ミスター・カーメンもジェロニモを持ち上げていましたし、ジェロニモもなんか嬉しそうでしたしね。


 そんな様々な要因を考えると、スプリングマンの勝率は4割ぐらいでしょうか。ただ、アトランティスのように相討ちパターンもありますから、それを「悪魔的勝利」に含めるとするなら5割を越えるんじゃないかと思います。スプリングマンはそのビジュアルのおかげで戦わせにくいというのは読んでるだけでもわかるのですが、そんな奴がウルフマンを惨殺したという辺りに悪魔超人としての恐ろしさがあったので(同じ色物系のステカセキングは能力は恐ろしくても試合は色物系の流れでしたし)、たとえ試合では負けてもグリムリパーをボロボロで自害不能なまでに追い込むなどして「勝負で勝って」ほしいものです。