犬と私と10の約束

 日曜日に観てきました。休日だったという事もあり、家族連れが多かったですね。
 が、この映画は犬の映画ではありますが、「犬が出てきて『まあかわいい』」なだけの映画じゃありませんでした。主役も犬ではなく、「犬とともに生きた少女」です。そして、その少女が犬と出会ったのが中学生で、犬が死ぬのがその十年後ですから、テーマ的にもちょっと重く、家族向けのファミリー映画という感じではなく……結果、子供達は暇そうに座席の中でもぞもぞしたりしてて、気分的にイマイチ……。


 まあ愚痴は置いといて。
 この「犬の映画」ではなく、「犬とともに生きた少女の映画」なわけでして、正直騙されました。予告編ではいかにもって感じのハートフルでラストに感動してわあ楽しかったーという感じだったので、予想以上に重厚なストーリーに騙されました。……悪い意味で。
 言っちゃ悪いのですが、私はこの手の「ファミリー向け映画」が大嫌いです。演出が、脚本が、登場人物が、台詞回しが、全部嫌いです。「こうすりゃ感動するだろう」とか「こういうシチュエーションにはこんな台詞が必要」とか、テンプレたっぷりなところが胸焼けするのです。全部展開が予想できます。なんでそういうのをわざわざ観ようとするかと言えば、梅澤春人先生がソードブレイカーを描いた理由のようなものかもしれませんし、ただでさえ感覚がずれている私ですから、「一般人の感覚」を忘れないようにするために必要な行為なのかもしれませんし、あるいは単に「ああ、つまんねえ映画だー。やっぱり俺は人よりセンスが優れてるぜー」と自己満足に浸りたいだけなのかもしれません。まあとにかく、気の迷いであるのは間違いないですね。
 その意味で最初に「騙された」と思った時は、「ひょっとしたら面白いかな?」と思ったのですが、別に面白くなかったものですから……。ただ、これが明確につまらないと思った理由ははっきりしていて、「クライマックスの感動シーンを予告編で散々流していたから、実際に観た時に白けた」のです。普通なら感動するシーンですし、捻くれた感性を持った私も感動しないわけではないのですが、そこで「知ってるシーン」を出されると、一気に現実に引き戻されます。ああ、なんでこんな映画観たんだろ。
 一応ストーリーに突っ込んでおく……のも面倒なので、大雑把に突っ込みます。犬との出会いである中学生時代を大きく描くのは構いませんし、犬の死の時期を細かく描写するのも当然です。が、その間がさっぱり抜け落ちているのはどうかなーと。少女の幼馴染兼彼氏が海外に留学して、ある日突然戻ってくるという設定を作る事によって、高校大学の「青春時代」を全部端折ってしまえる構成にしているのは素晴らしいといえるのですが、人間の一生ってそんなに薄っぺらくないでしょう。というか、犬の一生であるたった十年のうち、何年をナレーションだけで済ませてしまっているのですか。脳内補間ってヤツですか、そりゃ勿体無い!幾らでも感動シーンは作れるのに!


 なんかもう、文章が目に見えて荒れています。そこまで腹立たしかったのでしょうか、私は。
 なんかもうやだよ。世の中も、私も。


 ドラえもんでも観に行くべか。