ドラえもん最終回の元ネタ?

 最近某同人誌による最終回が話題になりましたが、今回はそれとは違う、「のび太植物人間説」について。
 この都市伝説が流れたのは86年ぐらいで、のび太が交通事故で植物人間になってしまい、ドラえもんとの日々はそののび太が見ていた夢だった、というのが大雑把なあらすじです。もしくは、ドラえもんはいるけど、事故で植物人間になってしまったのび太を助けようとした時、歴史を変える恐れがあるからできない、というプログラムが邪魔して助ける事ができず、代わりに二人で「天国」に行く、というパターンもあります。まあ、元が噂ですから、いろいろな亜種が出たのでしょう。
 当時の藤子先生は、この噂が大きくなった際に「こんな悲しい終わり方にはしない」というコメントで否定しています。そりゃ当然でしょう。ドラえもんは夢の話ですが、本当に夢の存在にしてしまうなんて、夢を真っ向から否定しています。
 それに、この話はドラえもんの一エピソードとしての側面はあっても、最終回に必要な「のび太」が不在です。しずちゃんジャイアンスネ夫が登場しないならまだしも、のび太ドラえもんと対等にいるべきです。更に言えば、なんらかの形でのび太が成長して、それに前後してドラえもんが帰っていく、というのが今までに描かれた仮最終回ですし、もし正式な最終回が描かれるとしたらそれに準ずるものでしかるべきです。
 まあそれはともかく、ここからが本題なのですが。
 そもそもの「のび太植物人間説」がどこから出てきたか、です。なお、今回の日記を書こうと思ったのは、これから書く「自分の知っている話」についてググってみても全然引っかからなかったからです。


 確か、なのですが、この説が流れた86年頃は、藤子F不二雄先生が病気で休んだ時期だったと思います。といっても長期的なものではなかったと思います(パラレル西遊記や雲の王国のように、出版に影響を与えるほどではない、という意味で)。で、ですね。86年といえば、大長編でいうところの「のび太と鉄人兵団」です(連載時期は85年ですが)。そして単行本を読み返してみると、中盤に少々タッチの違うページが入っているんですよね。
 F先生はお亡くなりになる寸前までドラえもんを描いていましたが、実はちょっとした病気やスケジュールの都合で、ラスト付近のページの作画をアシスタントに任せている短編が幾つかあります(ストーリーは全てF先生によるものです)。今手元にコミックスが無いのですが、「サカユメンでいい夢みよう」とかはそうだったかと。子供達に夢を与えるための「ドラえもん」ですから、できるだけ自分の手で描こうとしていたのだとは思いますが、それでも已むに已まれぬ事情があったという事です。
 そして、今回の鉄人兵団ですが、大長編でそういう事態になったのはこれだけだと思います(遺作となったねじ巻き都市冒険記は除きます)。で、あくまで記憶を頼りに書いているのですが、その影響でちょっとした騒ぎになって、F先生が病気になった事と混ざって「のび太植物人間説」が出てきたとかいう話を、どこかで聞いた事があるのです。つまり、F先生の病気→植物人間であり、ひょっとしたらもうドラえもんが読めなくなるかも→最終回という風な連想が行われたと。


 これは本当に推測で、ソースを出せと言われても、むしろこっちが欲しいぐらいでして。しかもこの話、オチがありません。ひたすらに疑問を呈するだけで、これ以上まとめられません。解決したところで、私のちょっとした知識欲が満たされるだけですし、つくづく最低ですね、私は。
 ただ、「根も葉もない噂」にも、ひょっとしたら根があるかもしれない、という事です。
 (この場合、株分けした根ですが)