僕も一度で良いから結婚したかった

 「うたわれるものらじお」が終わりました。らじおが始まったのが一年前、アニメが始まったのが更に三ヶ月前なのですから、アニメ開始当初から追っかけていた人間としては感慨深いものがあります。
 といっても、最初は「私がクリアした数少ないエロゲーのアニメ」として観ていたに過ぎず、結構な情報量を持つあの話をどうやって消化してくれるのかなあという程度にしか思っていませんでした。中の人もほとんど知らず、声の無かったゲームに対してどういうイメージを付けてくれるだろうかと考えているだけでした。
 やがてアニメはシリアス風味に順調なストーリーとなり、作画や演出も相まってなかなか面白いと思える作品になりました。ですが、この程度ではまだ「よくできたアニメ」でしかありません。世間の話題はハルヒが毎週さらっていましたから、私もまた特別気にかけていませんでした。
 しかし、らじおは……!
 私はネットラジオというものを、その時初めて聴いたのですが、それでもこのらじおが何かおかしいのが伝わってきました。
 小山力也さんと言えば霞のジョー……はあんまり覚えていませんが、主に吹き替えで活躍し落ち着いた演技をする人で、柚木涼香さんと言えばナビ子ちゃんやブラックウィドーで、ハイテンションから悪女までこなす楽しそうな人、……というのが大雑把なイメージでした。まあ、概ねその認識は間違っていなかったのですが、ただ「段違い」でした。
 小山さんの一体何が気に入ったのか、柚木さんが遠慮なくアタックしています。小山さんはなんとか場をまとめようとしながらも、明らかに押されています。「最終回までに結婚」「ゲストなんていらない」「家族なんて便利な言葉」「浪川」……次から次へと名台詞が飛び出します。明らかに「アニメの宣伝としてのラジオ」を忘れて、ラブコールを繰り返す柚木さん。その度に慌てながらも、次第に扱い慣れていく小山さん。私も一時期は、「この二人さっさと結婚したら良いのに」とか思っていました。
 さすがに結婚は冗談(というより事務所で止められた)だったにしても、いろいろな意味で全力な二人の声を聴いていて、私はすっかりファンになっていました。恐らく、うたらじが無かったらアニメのDVDも買わなかったと思いますし、声優をチェックしてからアニメを観る習慣も付かなかったと思います。ただ、「浪川」という名前だけで笑いが取れる人間になってしまったのは、ちょっと……。
 そんなうたらじも、もう終わります。あれほど「中の人」が見えたラジオは今までありませんでした。職業としての声優は知っていても、人間としての声優はほとんど知りませんでしたので、リアルタイムで聴けて本当に良かったと思います。少々早いですが、一年間ありがとうございました。


 なお、うたらじを一通り聴いた後に、いろいろなアニメを観たのですが、そのおかげなのか私にも中の人が見えるようになりました。具体的には、演技のノリから収録現場の様子が想像できるのです。ビーストウォーズとか、本当に真剣で、でも心の底から楽しそうにしているのが、よく見えましたよ。