トリック オア トリート

 もう物語は終盤なのにLAP45は「ゾーダ」と、非常にシンプルなものでした。しかしタイトルの演出は凝っていました。
 そして、よくよく考えてみればゾーダが過去から蘇った際に「何故ゾーダなのか」という根本的な疑問は明かされていませんでした。ゾーダの方が先に蘇ったんですから「リュウ君に対抗した」では理屈が通らないのです。
 しかし、それは強引とも取れる手法で解決しました。リュウ君にはなんらかの秘密があるだろうとは思っていましたし、特別不自然なものではありません。じゃあゾーダは何かと言うと、そのリュウ君に対抗して過去に送り込んだ人造人間だったのです。そして過去でリュウ君とライバルになり、コールドスリープになるほどの重傷を負わせたのです。それが全てシャドー総帥の必然の下だったのです。
 正直、時間をさかのぼる事ができるのなら、シャドー総帥が直接乗り込めば良いのではないかと思わないでもないのですが、この辺りまで来ると設定が頭の中でこんがらがってきていましたし、ファルコン伝説に理屈を求めるのもどうかなあと思い直したので、あんまり気にせず観ていました。
 そして、今までシャドー総帥に反逆してきたはずのゾーダは、実は全て掌で踊らされていただけだと気づきました。そんなもの、我慢できるはずがありません。生まれなんて関係無いと言って去っていきました。
 シャドー総帥側としては、ゾーダの今までの行動は予定通りであり、リュウ君の行動さえも想定の範囲内だと言いました。全てはシャドー総帥の目的のためなのです。しかし、仮にも自分の手下であるゾーダの行動ならまだしも、明らかに敵であるリュウ君がどう役に立つというのでしょう。
 しかし、愚鈍な私でも、ここまでやられればさすがに分かりました。全ての鍵はリアクターマイトが握っているのだと思われます。ブーストファイアするだけでなく、暗黒空間に穴を開け、クローン人間を量産し、挙句に人間を過去に送り込むパワーを秘めているのです。リュウ君のリアクターマイトだって、そのぐらいの変態的能力を持っていてもおかしくはありません。全部集めれば一つ願いが叶うかもしれません。


 物語も終盤だというのに、三週連続で敵側がメインのエピソードを持ってくるという構成は恐ろしさすら感じます。しかし、それぞれのエピソードは「主人公の恋人が記憶を取り戻し、葛藤する」であったり、「主人公のライバルが自分の正体を認識する」であったりと、単純に敵側とは言えないキャラクターばかりです。
 元々F-ZEROファルコン伝説には悪役は多くても、悪人は少ないのですから、こういうエピソードの掘り下げをやってくれると非常に盛り上がります。ミスキラーなんか「さっさと正体を明かせ」とすら思っていましたから、尚更です。
 そして、全ての悪の終着点がブラックシャドー様であり、シャドー総帥の目的だけは未だ分からないのです。今までの伏線や謎を回収していく事で、誰が真の敵であるのかを明確に示しているといえるでしょう。
 さて、敵が誰かを浮き彫りにしたこの話ですが、そろそろ主役である先生……じゃなかったキャプテンファルコンの復活を期待したいところです。ファルコン以外のキャラクターも皆濃いのですが、やはり「ファルコン伝説」とタイトルを背負っているからには、最後は復活してビシッと決めて欲しいですよ。