全部揃えると願いが叶うのはマジ

 46話「伝説の男」はなんと総集編でした。悪役メインの話を三週間も続けて、やっと話が進むと思ったら……と言いたいところですが、実際のところは総集編というよりは「今までのまとめとこれからの覚悟」を上手く描いた、ちゃんと見れる話でした。
 リュウ君が現代に復活した理由は今まで語られていません。この手の話しでは「主人公だから」とかいって説明されなかったり「現代と過去ではテクニックや考え方も違うだろう」という打算的な理由であったりするのが多いのですが、どうやらちゃんと理由があったようです。
 なんでも、宇宙を救うための「セイブス」だとか。いきなりの預言に面食らいますが、他にもいろいろな話が明らかになったので、割と納得できるようになっています。リアクターマイトはビッグバンと共に誕生した物質であり、シャドー総帥はそれを使って宇宙を支配しようとしている事。リアクターマイトは使えば使うほどエネルギーが上がるもので、シャドー総帥の一見不条理な行動も全てリアクターマイトのためのものだった事。ファルコンはただの変なおじさんではなく、「ファルコン伝説」という伝説を受け継いできたものであるという事。ブラックシャドーもファルコンと共に闘ってきた存在で、その戦いに終止符を打つのが「セイブス」リュウ君である事。
 私がここで一番驚いたのが、いつぞやに出た第一回F-ZEROグランプリの記念写真に写っていたファルコンとシャドー総帥が、単なるお遊びではなくちゃんとした伏線だったという事です。こういう「最初はギャグにしか見えないが、実は意味がある」という形の見せ方は大好きでして、思わず感嘆の声が漏れました。
 「ファルコン伝説」というのも、なんとなく付けたサブタイトルじゃねえのとか思っていましたが、ここへ来て明かされると感慨深いものがあります。この手の「伝説」は普通番組冒頭で「遥か古代から受け継がれてきた戦いがある〜」という感じのナレーションで見せるものだと思いますが、F-ZEROでそれをやらなかったのは正解だと思いました。ただでさえ胡散臭い古臭いアニメなのに、SFでいかがわしさを出す事も無いでしょう。「ここまで見てくれた人だけが『ファルコン伝説』を見届ける資格がある」と言われた気がして、誇らしく思えました。
 そうなると、当然気になるのがファルコンの不在。まあ、どう見てもバーサーカーがファルコンなのですが、表向き姿を消すほどの事情とは一体何なのか、という疑問が沸きます。「その方がカッコ良いから」とか、あの先生なら言いそうですが、ファルコン不在でファルコン伝説は成り立たないのは当然ですので、この話はファルコンの復活フラグでもあります。
 最後の疑問が、今までのリアクターマイトの数です。6個あるうち、ブルーファルコンとドラゴンバード、ブラックブルに一つずつ。ゾーダの腹に一つ。後はブラッドファルコンと、残りの一つは未だ不明(記憶で書いています)。ファルコンは生きているでしょうからブルーファルコンのは残っているでしょうが、ブラッドファルコンは暗黒空間に落ちましたし、もう一つの所在もあるので、もう一波乱起きそうです。
 とにかく、いろいろと宙ぶらりんだった今までのストーリーを上手くまとめて、一気にこれからのストーリーを期待させる、良い総集編でした(ちょっとだけストーリーの進展もありましたが)。ラスト前の一休み、みたいなエピソードは割とありますが、それが単なる回想ではなく、同じものを別の視点から整理するという感じで、丁寧な作りです。今時珍しいんじゃないでしょうか。