でも、今のBGMはタイムボカン・ソングセレクション

 もえたんのOP「魔法少女マジカルたん!」買ってきました。
 さて、改めてこの歌を聴いてみると、ふざけているようでかなり真面目な、しかも現代的な曲だと思いました。
 最初アニメで聴いた時は、一番の「お約束変身ポーズ」とか、魔法少女を皮肉った歌なんだと思っていたのですが、どうもそうではないようです。どこにでもいそうな現代っ子がいきなり魔法少女になって、「わけ分かんない。魔法少女の使命なんて知らないよ」という感じの内容が一番に集約されています。
 で、世界平和よりも愛に生きるのも当然でして、でも皆の笑顔だって気になりますよね。だからこそ少女は叫ぶのです。「変身、ブイスリャー!」って。そして皆のHELPに応えるのですよ。
 二番では冒頭からラスボスが登場しています。更に歌詞の内容から、ライバルポジションの魔法少女もいるようです。で、ケンカしてる場合じゃないよと協力するのです。そしてライバルの魔法少女もまた正義に目覚め、プルトン爆弾と共に散るのです。
 この一番から二番の流れは、魔法少女もののフォーマットに則った、前半と後半のストーリーを歌ったものといえるでしょう。アルファベットの順番もそれを示しています。
 魔法少女のちょっとした歴史を、あくまで現代的な女の子の視点で語り(だから「魔法少女」に懐疑的です)、しかも魔法の言葉やアイテムの名前を歌う事も忘れません。この「現代的」というのが、いかにも「もえたん」的でして。本編でも魔法少女のお約束を掴みながらツッコミを入れていますし、携帯で変身したりと効率的な魔法の在り方を提示しています。そういう内容を、分かりやすくポジティブに書いているのですから、さすがは畑亜貴さんです。


 なんだか最近、もえたんにはまりすぎな気もします。元々の原作(?)から全部買っていますし、今回のアニメも、ToLOVEるの長谷見先生がシリーズ構成をすると聞いた時から期待していました(だから、今期のダークホースとか言われるのがちょっと心外だったりします。面白くて当然)。
 大体、パロディというのはただ出せば良いというものではありません。他人のネタを使うのですから、そこに対するある程度の礼儀は欠かせませんし、それがどういう意図で使われていたのかを知っている必要があります。それが無いパロディは二流です。
 そしてもえたんの場合、業界全般に対する一種の自虐を含んだパロディネタを多く使っています。例えば、「妹が12人もいるわけがない」という例文に対し、私はシスプリを馬鹿にするのではなく、愛しながら「でもやっぱり変だよね」と突っ込む、オタク的知性を見ました。
 結局オタクは、自分達の世界がおかしい事なんて最初から分かっています。だから、そこにツッコミを入れながら「でもやっぱり楽しいものは楽しい」と言える事は素晴らしいと思います。
 ただ賛美するのではなく、ただ批判するのではなく、両方を孕んで初めて「愛」が成立するのだと、私は思います。これはオタク的サブカルチャーだけではなく、一般論に通用すると思います。例えば、生涯の伴侶が完全無欠の人間だとしたら、私は嫌です。だって、私の立場がありませんもの。
 もえたんは私にそういうものを教えてくれました(強引な繋ぎ)。変てこな世界だけど、それを笑うんじゃなく、「変だなあ」と一歩離れて、その上で飛び込むような、そんなアニメだと思います。


 あ、勿論一番好きなのはF-ZEROですよ。