もえたん5話「時をかけるロリ」

 今公式サイトを覗いたのですが、どうやらDVDにはネットのショップ限定でラジオCDが収録されるようですね。卑怯ですね。まあ私は第一回から録音していますから、別に欲しくはないんですけど。………………今まで予約してなくて助かった……。
 今回のもえたんは、この手のネタアニメには欠かせない「中休み」の回です。……だと思います。
 インクちゃんとあーくんがアリスの罠にかかって過去に飛ばされ、子供の頃のすみやナオ君と出会うという、いかにもありがちな「ちょっと良い話」ですが、そこはもえたんの事ですから、十分にネタ要素が詰まっていました。


 冒頭で、誰かが飛ばしてしまったであろう「赤い風船」を目撃するいんくちゃんとナオ君。これが今回の話のキーとなります。
 その事をお母さんに話すいんくちゃん。いんくママが若すぎだとか、映っているテレビのアナウンサーが某月面兎兵器そのままだとか、テレビの話題がチンパンジーオリバー君だとか、ネタがバラバラでカオスな状態になっています。しかもこのオリバーたん、英語を話せるとか。英語を理解するチンパンジーという話もアイオワにありましたが、一体どこまでネタを詰め込めば気が済むのやら。
 ま、それはともかく、赤い風船というのは幼い頃のいんくちゃん(これ以上幼くなってどうする)が大好きだったものだったらしいです。今はどうなんでしょうね。
 次の日の英語の授業、「最終回に全米が泣いた!」の英文を見事に和訳するナオ君、着実に英語を身に付けています。一方ですみちゃんは「沙貴先生の作品が読めるのは○○○○(ジャンプ)だけ!」の英文を和訳するよう言われますが、発音も訳も駄目駄目でした。子供の頃から苦手だそうです。いんくちゃんはナオ君だけではなくすみちゃんにも英語を教えられたらと思うわけですが、今の微妙な関係では難しいでしょうね。
 そして帰り道、当たり前のように「転ばないように気を付けろよ」と忠告されるいんくちゃんに、「うさぎちゃん、事件よ!」とどっかの誰かさんのように叫ぶあーくん。さっそく急行してみると、これまたお約束の「川で溺れている子供」でした。さっそく助けようとするものの、そこにスミとかーくんが飛んできて、そのまま川にドボン。何しに来たんですか。
 しょうがないので、二人とも助けるインク。BUBBLEの呪文で「シャボンなんとか」を発動しました。「なんとか」というのは、いきなり技の名前が思い付かなかったそうです。子供はコスプレのお姉ちゃんに感謝して去っていきましたが、かーくんが溺れているのを忘れていました。すぐさま助けようとするあーくんの前に、やってきたのはなんと先週で自爆して果てたかと思われた親父(声が岩田光央さんなので、岩田親父と勝手に呼ばせてもらいます)でした。
 岩田親父曰く、これ以上あーくんが力を使うと命が危ないらしいです。それはショッカー首領を倒した仮面ライダーの如く、カラータイマーを光らせるウルトラマンの如く、惑星を食うユニクロンと対峙するが如くにです。ちなみにこのイメージカットでのウルトラマン、何気にしわが寄っていて「着ぐるみ感」がよく出ています。こんな妙なところに凝ってどうする。
 しかし、カークスとの友情(かどうか知りませんが)の前には自分の命など惜しくはありません。岩田親父の制止を振り切って川に飛び込み、やっぱり溺れました。魔法使いなさい。
 号泣する岩田親父は放っておいて、FISHINGの呪文でスミが「マジカル一本釣り」で二人とも助け出しました。スミはそのまま引き上げていきます。結局何しに来たんでしょうか。
 そして帰ろうとするインクとあーくんの前にアリスが現れます。しかも今回は、メルヘンチックなデカブツの魔法馬を連れています。やたらと「時の流れ」などを強調する謎の魔法少女ですが、とりあえずあーくんには覚えが無いようです。……実はアークスの事が好きで、でも時の流れ=第二次性徴によって見向きもされなくなってしまったとかだったら大笑いしますが、さすがにそこまでベタではないでしょう。それに、あーくんはロリコン野郎ですが、意外と常識的な感性の持ち主でもあります(むしろ、問題なのはロリ趣味だけ)。ロリ以外興味が無いというのは、さすがに無いと思います。さすがに……。
 そんなこんだであーくん、身に覚えが無いなら自分の胸に聞けという事で、とりあえずインクの胸に聞きます。吹っ飛ばされたのでアリスの胸にも聞きます。この時のあーくん、ていうか小野坂さんは生々しすぎます。ほどよい大きさじゃねえっての。
 そんな状態で話が穏便に済む筈も無く、アリスは魔法馬をけしかけますが、腐ってもあーくんという事で、時空ゲートを開いて馬を丸ごと転送してしまいました。カッコ良いですよあーくん。しかし、それこそがアリスの狙い。ゲートが閉じる前にあーくん(とインク)を引きずり込んで、別世界に送ってしまいました。
 が、別世界かと思いきや、そこは見慣れた景色の公園。ただ、そこにいたのは幼い頃のすみちゃんでした。つまり、過去の世界に飛んでしまったのです。空には赤い風船が飛んでおり、男の子がそれを追いかけていました。
 ここでAパート終了、アイキャッチは幼いすみちゃんと学生時代の瑠璃子さん「瑠璃子17歳」と、「17歳、ではありません」いんくママでした。ネタだらけで突っ込むのも大変どころか、腹筋と喉が鍛えられますね。英語よりも音楽が得意になりそうです。


 幼いすみちゃんと軽く会話するインク。すみちゃんの持っている猫のぬいぐるみの名前は「キャット」だそうで、英語が嫌いというわけではなかったようです。瑠璃子さんの英才教育で歪んでしまったのでしょうか。あの空越えてやってきた自転車に乗った瑠璃子さんも「グローバルスタンダードに目を向けなければ」とか言っていますし。
 元の世界に戻るため、あーくんの魔力を回復するまで待つ事になったインク。行くところが無いので、結局自分の家に辿り着きました。そこにやってきたのは、若い頃のいんくママ……?若い頃?あまり変わらないような……。永く暮らしているいんくちゃんにはきっとその違いが分かるのでしょう。アップにすると小じわが見えるとか、そんな感じの。
 いんくママに見つかったインク、名乗るわけにもいかず、適当に思い付いたのが「いんくちゃんの友達のぺんき」でした。ぺんきちゃん(笑)。ぺんきちゃんですよ。どこがどう間違っているのかは言えるのですが、ここで言ってしまうのは無粋なぐらいに輝いていますよ、ぺんきちゃん。その後もいんくママはママらしい優しさを見せてくれましたが、「ぺんきちゃん」と言う度に吹き出してしまいました。破壊力ありすぎです。
 いんくママにすら小学校高学年と間違われるインクですが、一方その頃商店街ではダンディと警官のお馴染みのやり取りが行われていました。こんな昔からやってたんですね……。しかもこの商店街、POP先生のサイン会とかやってるみたいですし、街の旗にはコンボイカラーのガンダムが描かれていますし、例によってやりたい放題です。このスタッフ、何気にトランスフォーマー大好きですね(映画化記念で入れてるだけかもしれませんが)。
 ところで、この商店街でダンディが挨拶していた眼鏡の高校生?が誰だか分かりません。髪が緑系なのでありすかとも思ったのですが、時代が合いませんし……。もえたんはいい加減に作っているようでいて、こういう辺りはキッチリ伏線にすると思いますから、ちょっと覚えておきます。……今までに出たキャラだったらどうしましょう。責任取って腹でも切りましょうか。私が。
 公園に戻ってナオ君の授業の予習をしていると(普段から教科書を持ち歩いているそうです。……どうやって?)、すみちゃんがまたやってきました。高校生で英語が苦手になっているのですから、ひょっとしたらここで英語を教えれば良いかもしれないと考えたインク、ちょっとの間だけマジカルティーチャーのインク先生となるのでした。あーくんもいつも通り、眠りに就きます。
 ……が、子供に「疑問文」とか「助動詞」とかを教えて「なんか楽しいでしょ?」と微笑むインク先生はトラウマになって当然です。瑠璃子さんが再びやってきて救出していきました。なお、瑠璃子さん17歳のサドっぷりはこの頃からあったようです。……一歩間違えると幼児虐待ですよ、お姉さん。
 瑠璃子さん17歳が去った後、とある子供達が喧嘩している事に気づきます。そこは一応年上の威厳という事で、インクが介入するとあっさり引き上げていきました。三対一で無謀にも戦いを挑んでいたのは、なんと幼い頃のナオ君です。
 どうやら、友達の赤い風船を相手が馬鹿にした事で喧嘩となったようです。喧嘩は嫌いでも、どうしても許せなかったのです。そんなナオ君を、インクは優しく抱きしめるのでした。「その優しい心は、きっとその子に伝わっているよ……」と。
 良い話ですよ。良い話なんですけど、その直前にナオ君に笑ってもらうように出したゲーム(ナオ君はゲームオタクです)が、どう見てもゲーム&ウオッチなので、ギャップに戸惑いました。ちゃんとボタン配置も完全再現していて、色はゴールドです。絶対狙ってます。ていうかインクさん、自分の年齢よりも古いゲーム機を持ち歩いてますか。今なら貴重品いやさ半分骨董品ですよ。
 そして現代に戻ったいんくちゃん、17歳ではないママに抱きついて、ちょっと安心。
 最後に本編ていうか、毎度の授業です。ちなみに、一瞬映った妹はアニラジを聴きながらネームを考えていました。入稿と言っていたので、同人作家のようです。どんな小説を書くんでしょうね(たぶん小説)。
 着実に実力を付けているナオ君、調子良くなったのか休憩と称してゲームを始めました。インク先生は当然怒りますが、好きなものはしょうがないとナオ君は悪びれもせず言います。その机には、インクから貰ったゲーム&ウオッチと、左腕をドリルに換装した初代メガトロンのフィギュアが置かれていたのです……。………………。……良い雰囲気なところ悪いですが、突っ込んで良いですか?
 そんなわけで、すみちゃんの英語嫌いも、ナオ君のゲーム好きも、実はインクが過去に干渉してできたものなのでした。終わり。


 いやあ、もえたんって本当素晴らしいですねえ。
 今回はネタ満載でありながら、ストーリー面もなかなか面白い構成になっていました。ありがちな過去話ではありますが、過去のいんくちゃんは顔どころか名前すら出していないのは渋い演出だと思います。他にも、赤い風船は魔法の力で取ろうと思えば取れるでしょうに、そういう事はしないんですよね。
 この話以外でも思ったのですが、この世界では魔法は万能ではないというよりも、あくまで等身大の高校生(かどうかは知りませんが……)として描かれているので、そもそも魔法は手段でしかないという構成になっています。そういう本筋の部分を骨太に作って、後は好き勝手に作っているというギャップもまたたまらないんですがね。
 実は原作も同じコンセプトでして、ストーリーは恋する少女とその気持ちの揺れに重点が置かれ、それ以外の部分は思いっきりネタに走っているんですよね。パッと見はネタの方ばかりに気を取られますが、そうでない部分もちゃんと作っているというのは好感が持てますし、見ていて飽きません。この際、もう一度英語を勉強してみましょうか……。
 次回は総集編。……泣かないもん!