頭が痛くないのが救い

 でも喉が痛いのは致命的。
 心を癒すためにF-ZEROでも観ようかと思ったら、何故か中身だけ紛失……そういや前に旅行用に幾つか移してそのままだったっけ……(ちなみに、旅行先では結局観なかった)。


 すっかり意気消沈して、ヤケクソになったので激走戦隊カーレンジャーの25話を観る事にしました。かのラジエッタ初登場のエピソードにして、ゾクレッドことSSパマーン率いる暴走戦隊ゾクレンジャーの回です。なお、ゾクレッド以外のゾクレンジャーは、いつもバリバリアンにたむろしている平ボーゾックから色のイメージで選出したものらしいです。
 これを初めて観た時は、「アクションシーンでの挿入歌の重要性」を強く認識したものです。こういう番組の場合、主題歌がかかれば知らず知らずに気分が盛り上がるのです。でも、それが主題歌の替え歌で、しかも敵方の賛歌だとしたら、これほど気持ち悪い事はありません。……ええ、すごく気持ち悪いんです。ものすごく……。
 しかもこの曲、聴けば聴くほど完璧に作られているのが分かります。替え歌の基本である「原曲を踏まえる」を高いレベルで満たしているので、「パッと聞」は本当にカーレンジャーの歌詞に聞こえるのです。だからこそ、微妙な違いが言い様の無い気持ち悪さを作っています。どのタイミングで曲がかかり、どの部分でカットを切り替えるかも完璧に決まっているので、尚更に。
 そしてこの話ではSSパマーンはあくまで「普通の敵」と同じ扱いであり、あくまで重要なのはラジエッタ初登場の方だったりする辺りが、さらりとした狂気を演出しています。しかもこのラジエッタもかなり飛ばしているキャラクターなので、余計にカオスな事に……。
 ちゃんとお互いのキャラを殺さずに絡ませる脚本にしているのも無駄に凄いです。ラジエッタを人質に取るのは悪役の基本であり、しかも軽い性格のラジエッタにとっては反省を促す事もでき、ゾクレンジャーは「(人質を取った事に対し)いつも一人で戦っているボーゾックに対し、五人で戦うお前らに言われたくはない」と言い放つ事で、ゾクレンジャーの持つ「スーパー戦隊のパロディ」を強く打ち出しています。そして重要なゲストキャラが登場した回には大抵そのキャラによって逆転のきっかけが作られるのですが、ラジエッタが自身の変身能力を活かしてその役目を果たすというオチも美しく(勿論カーレンジャーらしい間抜けさも忘れません)、更にはゾンネット関係のエピソードへの伏線も張っており、ちゃんと「異色回」ではなく「シリーズ上の重要回」として成立しています。
 ちなみに、この話でのラジエッタ役の人はこの回限りで、暫くして再登場する際には役者が変わっています。それは拙い演技だったから……なわけはなく(あのぐらいの初々しさがあった方がラジエッタらしいです)、病気療養らしいです。そして別の役者になって再登場した際のグリーンの迷台詞「前と雰囲気変わったんとちゃうか?」は現場で追加された台詞だそうで。


 なお、ゾクレンジャーとラジエッタの影に隠れて目立ちませんが、この回のシグナルマンも良い味出しています。冒頭は全員が海で遊んでいて(戦隊にお約束の水着回でもあるのです)、シグナルマンもそこにいるのですが、あの格好で上から海パンを履いているのです。海パンには信号機のワンポイントもあり、細かいところに凝っています。でも、あの格好で泳ぐ姿が全然想像出来ないんですけど……。