今日も作業中

 事情により、普段観ないようなニコマス動画を観ています。と言っても、タグで検索するだけなんですけどね。
 実際のところ、タグがどこまで機能しているかというのも興味深い話でして。例えば、「千早いじめ」では千早の胸をネタにした動画が大半なのに対し、メカご飯から発生した「メカ千早」ネタは「千早いじめ」タグにはほとんど入っていないのです。「メカ千早」もしくは「BST-72-CHIHAYA」で検索するとメカネタばかりになります。誰が決めたのか知りませんが、奇妙に住み分けが出来てて面白いです。
 考えてみれば、ニコニコ動画におけるアイドルマスターMADほど、「自主的にまとまっている」グループはないと思います。今「アイドルマスター」でタグ検索すると23000件あるのですが、動画のジャンルごとにタグが整理されているものがほとんどです。人気作品はタグの入れ替わりが激しいのですが、それも数日すればかなり落ち着きます。それは視聴者の興味が他に移るからでもあるんですが、「こういう動画ならこのタグだ」という先例が山ほどあり、視聴者側もそれを承知しているからです。
 そしてもう一つ面白いのが、ほとんどの場合「制作者表示が慣例化している」ことでしょうか。他のジャンルでも制作者タグが付いているものはありますが、アイマスの場合名無しの新人がMADを作ったら「名前どうする?」のようなコメントが付くほどです。VOCALOID等も制作者表示はありますが、これもアイマスからの流れなのか「P(プロデューサー)」を付けるようです。
 制作者表示はどういう意味をもたらすかと言えば、人それぞれの作風ははっきり分かれているものですから、趣味の合う制作者がいたら名前を覚えておいた方が嬉しいですし、「あの動画しか知らなかったけど、この人こんなのも作ってるんだ」という制作者繋がりでの新しい発見もあります。アイマスは10人のアイドルがいますから、どのアイドルが好きかというだけでもかなり趣味が分かれます。
 動画からアイドルを切り抜いて他の背景と合成するPもいますし、アイマスと関係の無い素材を混ぜることで笑いを誘うPもいます。我が友人風野シュレンは「音源が山本正之オンリー」という妙ちきりんな縛りで活動していますから、マサユキスト御用達なんじゃないでしょうか。いえ、知りませんが。
 こうやってニコニコ動画に「名前入りMAD」が増えているというのは、MADそのものに対する価値観の変化の前兆ともいえるかもしれません。以前「MADは本質的には同人誌と同じ」と書きましたが、現在において自分の名前を書かない同人作家はほとんどいないはずです。一方MADがアングラっぽい雰囲気を持っているのは、「どこから発生したかよく分からない」からじゃないかと思います。
 実力派の同人作家が出版社にスカウトされるケースがどの程度あるのか知りませんし、二次創作の同人誌でどこまで「一次創作」が売れるのかも分かりませんが、発生場所がはっきりしているからこそ社会に認知されていますし、訴えることもできます。MADがこれから「名前表示」等を基本として発展していけば、同人誌と同じぐらいの認識はされるんじゃないかと思います。「著作権侵害だ、許せん」と訴えるにしても「ティンときた!君のような職人を求めていたんだ!」とスカウトするにしても、名前は必要なわけです。無いと、いつまでもアングラな雰囲気から脱出できないと思います。


 まあ、だから何が言いたいというわけでもありませんし、そもそも今日は「タグ」だけの話をするつもりだったんですけどね。まあいいや。