ライラの冒険 黄金の羅針盤

 観てきました。初日でしかも映画の日だったおかげで、結構人が入っていました。で、久しぶりに他人のマナーにムカつきました。EDでスタッフロールが流れ始めて席を立つ人は良いんですけど(スタッフロールは実質「本編の余韻」しかありませんから)、映画の感想ですらない世間話を始めるってどうなのよ。そんな話は映画館の外でやってくれ、お前の修学旅行の話なんて知るか。何しに来たんだよアホ。


 ライラの冒険と言えば今月のウルトラジャンプで荒木先生と監督さんが対談していましたが、確かにジョジョにもちょっと通じるものがあります。人間の魂が体の外にあり、動物等の形を取っていて、魂を傷つけられれば人間にも同じように影響が出る、という世界。そいつらは「ダイモン」と呼ばれ、ジョジョの「スタンド」がちょっと身近になった感じでしょうか。といってもダイモンは「魂の形」以上の意味は(今のところ)無くて、超能力のビジュアル化であるスタンドとは基本思想が違うのですが。
 原作は知りませんが、どうやら10年ちょっと前の児童文学のようです。三部構成になっているうちの第一部「黄金の羅針盤」を映画化したらしいです。黄金の羅針盤とは、真実を見る事ができる道具で、主人公のライラにしか使えません。
 観た感想を一言で言えば、「展開が速い」でしょうか。恐らく第一部を全部入れると、結構長いんじゃいないかと思います。なので、どうもダイジェスト風味というか、重要な用語の説明が少なめだったり、登場人物の掘り下げが甘かったりと、理解するのに結構力を使いました。児童文学なら主人公のキャラが強くてサブキャラは大人しめな場合が多いのですが、それが悪い風に作用しているように思えました。
 ですから、どんなストーリーだったのかと説明しようと思っても、どこを説明してどこを端折るべきなのか、いまいち分かりません。三部まで行くと壮大なドラマになるだろうということは分かるのですが、おかげで一部だけだと尻切れトンボになっている感じです。分かりやすく言えば「打ち切り漫画」であり、「俺達の戦いはこれからだ!」ですか。
 シーンごとのカタルシスを産む「溜め」が無くなっていたり、複線の消化が作業的になってしまうと、どうも盛り上がりに欠けます。アクションとか美術面は結構すごいのですが、それもストーリーへの必然性を添える程ではありません。恐らく「ダイモン」の存在が後々のストーリーで重要になるのでしょうが、第一部のストーリーを追うだけなら「誰もがペットを連れてる世界」でも通じてしまいます。勿論、人とダイモンの「切り離し」等、重要なシーンは幾つかありますけど。
 それでも、人が死ぬとダイモンも消滅するというのはなかなか衝撃的だった気もします。クライマックスでは混戦となるのですが、人間が「ただ倒れる」のではなく「ダイモンが塵になって消える」という演出は「人が死ぬ=魂が消える」姿を上手く描いていると思います。子供向けを配慮しての事でしょう、出血やショッキングなシーンはほとんど無いのですが、下手な戦争映画よりも悲惨だったかもしれません。


 それで、ラストで人が死ぬ様を観て、一応の感動を得た私でしたが、スタッフロールで横の女性が世間話を始めたおかげで全部台無しになりました。映画の内容はなんとか覚えていましたが、こうやって書いてみると上手く筆が進みません。ううむ、消化不良。今回観たのが字幕版なので、余裕があれば吹き替え版をもう一度観に行くかもしれません。