銀河疾風バルディオス

 カップヌードルの塩味が美味しくて仕方ないんだけど、どこにも売ってなくて仕方ない。


 ディスクユニオンのCD「銀河疾風サスライガー」及び「宇宙戦士バルディオス」を買って聴いてました。まあ今回も問題無し。ただ、耳が肥えたのか、仕様には問題無くとも、「やっぱりLPとマスターじゃ違うんだなあ」と、初めて聴いたバルディオスのサントラにちょっとだけ違和感を覚えました。少し音が潰れてるというのか、微妙な違いなんですけどね。マスターテープが既に存在しない以上、これは本当に仕方ない話です。
 しかし、私の言いたい事はそういうのではないんです。最初に「ガルビオンがCD化ってマジ!?」と食いついたら煮え湯を飲まされて、それ以来二ヶ月ごとにこのCDのシリーズを買ってますが、「今回は大丈夫かなあ」と心配しながら慎重に冷静にヘッドフォンに耳を傾ける姿は、正直アニメ音楽好きの正しいあり方ではなかったと思うのです。そんなに商品に不信感を抱いてしまっている自分が情けなくなってきました。
 今回のバルディオスもPCに取り込む際に曲のデータを打ち込んでいたのですが、ブックレットが当時のLPの縮小コピーで正直見難いです。誰が作曲したのかとか、漢字はどう書くんだとか、目が痛くなってきました。ディスクユニオンが用意したジャケ裏も曲名だけですし、そもそも表の背のラベルで「超高速ガルビオン」とか誤植してる奴らなんぞ信用できなくなっているんだと気付いて、また嫌な気分になりました。
 もう「出してくれただけで感謝」とか言いません。言うべきではありませんでした。今後一切作らないでください。こんなの、もう聴きたくないし観たくありません。


 これだけじゃただの個人的な愚痴になっちゃうので、バルディオスについて少し。
 私はあんまり子供の頃は音楽とか、ましてや音楽家というものについて興味は持っていませんでした。好きな曲は歌ったりもしましたけど、それが「良い音楽だから」といった特別な意識を持つほどではなかったと言いましょうか。
 しかし、TVゲームに触れた時に私の音楽に対する評価が覆りました。明らかにショボイと分かる音質、音数でありながら、確実に「良い音楽」が存在していたのです。そこで初めて、これは単なる演出、付属物ではない「音楽」なんだと気付きました。
 そこで私が触れた音楽は「ドラゴンクエスト3」と「Wizardry」でした。よって、私が始めて認識した「音楽家」は、「すぎやまこういち」と「羽田健太郎」の二人だったと言えます。なお、あの頃はいろいろとごっちゃだったので、どっちが先だったかは覚えていません。
 そんな羽田さんが活動初期に音楽を担当したアニメが「宇宙戦士バルディオス」なわけですから、私がその後山本正之さんに傾倒するようになってからも、やっぱりこれは買わざるをえないなあという結論に達しました。
 そして聴いてみると……やはり美しい。クラシックが基本としてありながらも、アニメ音楽の俗っぽさ(笑)というか、良い意味での親しみやすさがよく調和しています。特にボーカル曲は、OPがですます口調でロボットアニメらしからぬ穏やかさのある歌詞を上手く曲に反映しつつ「アニメOP」に仕上げていますし、逆に挿入歌「立て!バルディオス」は正統派ロボットアニメの歌詞をクラシカルに歌わせています。
 しかし残念なのはもう一つの、劇場版サントラ。シリアスでありながらも、基本はロボットアニメという「娯楽性」に満ちた構成だったTV版に対し、戦場の愛憎劇をメインに仕立ててロボット分を減らしてしまった結果が音楽にも現れていると思います。端的に言えば平凡で、「普通に良い曲」でしかないのです。まあ良い曲なんですけど、「アニメのサントラ」としての面白さには欠けます。この劇場版も評判だけで観た事は無いんですけど、路線変更でこけてしまったのが頷ける気がしました。


 バルディオス自体は「お前達もう寝なさい」と「海のブルーになる最終回」ぐらいしか知りませんが、羽田さんの作風が既に現れているのが分かって嬉しくなりました。人柄もすごく好きだったんですけどねえ。