八割がたクリアはしたけど

 エクストリームのパーフェクトはいくらなんでも無茶すぎるだろjkな初音ミクProject DIVA 2nd。しかし、それでただのクリアよりもパーフェクトの方が多くなるぐらいには頑張ってみたものの、それでふっと気付いた事が。
 Vocaloidの歌が聴き取りにくくて、未だに歌詞を理解していないのです。パーフェクトを取る程曲を聴きこんでいるにもかかわらず、それはあくまで曲であって、歌をほとんど聴いていません。
 これに気付いたのは、DLCアイマスとのコラボであるGO MY WAY!!とrelationsをダウンロードし、プレイした時の事です。さすがに胡麻和え等は何度も聴いた曲なので歌詞を覚えていますが、人間の耳とは不思議なもので、最初から歌詞を知っている場合、それが雑音が混じっていたとしても聞こえてしまうという「錯聴」という現象があります。それで歌詞も聞き取れたわけですが、逆に考えると、他の曲はほとんど歌詞を覚えていないんじゃないかと気付いてしまったのです。
 今の私は、恐らく世間的な知名度も私の視聴回数も一番多いであろう『みくみくにしてあげる♪』すらまともに覚えていません。ゲームでも特別な位置にいましたし、無印の頃から収録されているので、よく馴染んでいるはずなのに。
 ひょっとして、初音ミクDTMとしては出来が悪いんじゃないか?……こんな「ある種当たり前の結論」に今更ながら到達した私。
 そりゃ音声合成技術は未だ発展途上ですし、それを操る人にはプロやアマの概念すらまだ生まれていません。にもかかわらずこの初音ミクという小娘は、天使だの電子の妖精だの時祭イヴだのゼンダライオンだのと持て囃されている現状はどうなんでしょう。
 ただ、上の発見に付随するものとして、初音ミクは「歌ってくれる天使」ではなく、あくまで「ちょっと変わった電子楽器」なのだなあという感想がありました。つまり、初音ミクはボーカル担当ではなく、ギターやベースと同様、楽器として扱うべきなんじゃないかなあという意見です。それが結果的に歌になっているだけで、他のバンドメンバーとの立ち位置は同じところである方が、確実に初音ミクの良さを引き出せるんじゃないでしょうか。
 たとえばGO MY WAY!!、これは確かに曲としての完成度は高く、さすがプロと思い直すぐらいのポテンシャルを持っています(他の収録曲は、どことなく刺々しいイメージを感じます。アマチュア故の自由さなのでしょう)。しかし、これをミクに歌わせると全然雰囲気が変わってしまいます。端的に言えば、合っていません。まあ調教がイマイチという面もあるとは思いますが、それを差し引いても、GO MY WAY!!は「機械が歌う曲」ではなく「アイドルソング」である事実は揺らがないと思います。コラボしたら話題にはなるかもしれませんが、ミクさんは良くも悪くもボーカロイドの人なんだからアイドルの人にしてもしょうがないじゃんという印象が残ったステージでした。一方でrelationsは歌ってるのが亜美と同じ声の鏡音リンなのはちょっと面白いとは思いますが、まあそれはそれ(この恋が遊びならば〜♪の辺り、かなり再現度が高いですね)。
 じゃあどういう曲が初音ミクに似合っているのか?と言われれば、とりあえず『初音ミクの消失』のような、人間にはとても歌えないテンポや「機械的な歌唱」を必要とされる曲なんかは、ミクさんの独壇場でしょう。あの曲は実際テーマも面白いと思いますし(妙な路線を追及してしまったミクさんの切実な悩みが聞こえます)。あと私はミクさんの機能がどこまで使えてそれが許されるのか知りませんが、声にエフェクトをかけまくる曲等はエフェクトそのもののようなミクさんにこそ歌わせるべきではないでしょうか。
 このゲームにもいろんなジャンルの曲が収録されており、それぞれ聴いてて楽しいですが、ジャンル問わず「初音ミクならではの曲」と言うと、2割も無いと思います。確かには初音ミクは女声ボーカルが欲しい人には朗報だったかもしれませんし、気軽に自分の曲を発表できる環境が整えられた事実も決して無視できない成果と言えるでしょう。しかし、初音ミクを「楽器」として扱っている人は、非常に少ない印象です。尤も、初音ミクは楽器というだけでなく可愛らしい容姿も持ち合わせていますから、「初音ミクのキャラクターならではの曲」となるともうちょっと増えますが。
 以前Project DIVAについて「初音ミクというソフトに対するファンディスク」という意見を書いたと思いますが、それだったらもうちょっとガチ方面というか、楽器としての初音ミクを追求したゲームが出たら面白いんじゃないでしょうか。それがどんなものなのかはさっぱり想像できませんが。