泪橋を逆に渡るやよい

 やっと話が繋がりましたね(話数的な意味で)。
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 おまけ教室はファンレターの選別をする社員二人。実際こういう仕事があるのかは私も知りませんが、なんかすげえリアルだと思ってしまいました。業界あるあるネタとでも言いましょうか。選別しながら雑談(若干愚痴混じり)とか、私も暇な日は仕事しながら喋っちゃってたりするので、気持ちはすごくわかります。
 特に郵便番号を間違えても郵便局の人が気を利かせたら届くというのは実際にある話でして(地区単位への配送はだいたい機械を使うそうですが、最終的な配達は人間の手作業ですからね)、私の知り合いにも私の住所を間違えて覚えている人とか、私自身がうっかり郵便番号を書き間違えた時もあったんですが、それで不都合があったという話はありませんでしたから、配達員の人には本当に頭が下がります。
 そしてアイマス的には最近モバゲーでシンデマスなるものが始まっており、雨後の竹の子のようにアイドルが増えておりますが(ちなみに私も風野君も今のところはやってません)、その中にはいわゆる「DQNネーム」らしい子はいません。しかし現実では「ん?」と思うような読み方とか、そもそも読めないような漢字の子がアイドルとか子役とかで活躍していますから、765プロの数年後を考えると変わった名前の子が出てきてもおかしくありません。まあ、現実とゲームを混同しちゃいけないんですけどね。でもDQNネームの発祥はそういった架空世界の人物に見ることもできると考えると、混同するのは自然……いや、不自然です。
 でも、仮にシンデマスで力一杯のDQNネームアイドルが出てきたとしたら、私達はその子に愛情を持って接することができるのでしょうか?かつて961プロが大アトゥーム計画を発表した時の騒動に比べたら可愛いものかもしれませんが、アイマスの世界観が本当の意味で壊れてしまうのではないかという気がします。アイマスのアイドル達は良くも悪くも「きれいな子」ばかりなので(あの三兄弟もなんだかんだで悪い奴らではありませんでしたし)。DQNネームがきたない子というわけではないのですが、社会的にそういうイメージがついているという事実は否定できませんから。いやそもそもDQNネームの由来は(以下無限ループ)。
 アイマス世界は割とあたりさわりの無い名前が多くて良いですよね。PCのギャルゲーになるとかなりぶっ飛んだ名前が多いので、あの手のゲームをやり続けていると胸焼けしてしまいます。DQNネームが悪いというより、平凡が一番なんです。


 ちょっと長くなりましたが、本編はやよいのお話。やよいと雪歩のデュオは友情のハムライス辺りから続いてるネタですが、風野君としてはほんわかしてるキャラクターは使いにくいらしく(アウトロー率が高すぎる)、こっちではあんまり出番がありませんでした。他のPでも、ちゃんとしたストーリーものではやよいメインというのはあんまり多くない印象があります。たぶん「単純に良い子」というのがキャラクター的に膨らみにくいというのと、アイデンティティの一つである「弟妹が多い」という設定が立ち絵的な意味でやりにくいのではないかと私は考えているのですが。あと「歳の割にはしっかり者」という性格も、765プロの中ではやっぱり子供だし頭自体が良いわけではないし、唯一年下の亜美真美が小賢しいキャラだしで、いまいち栄えない気がします。尤もこれは二次創作的な考えなので、ステージで踊らせる分にはやよいの破壊力はマジっべーっすけどね。
 アイマスのコミュでは学園祭に呼ばれたりする話はありましたが、今回の動画は呼ぼうとするお話。実際にこういう依頼が来た場合、意外とスケジュール調整が面倒というのは非常にわかります。本業での知り合いが副業に関する仕事を依頼する際、相手はその副業での慣習とか、ひどい時には仕事内容すらもよくわかってないので、お互い世話になってるから好意で受けたまでは良いとしても、いざ練り直してみると全然上手く行かないというのはやっぱりよくある話です。あの『俺達はあんたの仕事はよくわかんねえから任せるわ』という無責任ぶりはなんなんでしょうかね。なんですか今回は。業界あるある話ですか。
 やよいはそういう「安請け合い」を一番しちゃうタイプでしょうね。プロデューサーとしては、せっかくやよいが持ってきた仕事は受けたいにしても、できないものはできないという現実も教える意味も含めて、一度はやよいに諭したのではないかと考えました。でもそのやよいの天真爛漫さが失われるとあんまり良い結果にならないであろうというのもわかります。ですから、雪歩が助ける形でならOKという風に収めたんでしょうね。……となると、ラストで「人間、一人になる時もある」とPがテンパってた言い訳が見事にその流れに反してるのが上手いですね。


 言い訳と言えば、風野君が言い訳してた笠原弘子さんについて。80年代の笠原さんは正直拙い歌唱力の人でした。しかしあの頃の笠原さんは「可愛ければ拙くても良い、いや拙いのが良い」という感じのアイドル路線でした。そしてイメージカプセル(ワーナーのアニメ部門。ドラマCDリリースが中心)のアイドルとしてありとあらゆるジャンルの歌を歌っておりましたから、それらをずっと聞いてると良い意味で脳が溶けてしまいます……じゃなくて、90年代に入る辺りからちゃんとした歌手路線になっていっています。マクロス2では歌姫もやっていましたし、歌唱力も確実に上がっています。
 しかしアイマス的には笠原さんのアイドル時代はかなり興味深い存在だと思うのです。なんというか、イメージカプセルが非常に小規模な企画だったので、まるでアイドルが一人しかいない芸能事務所のような印象があるのです。企画力自体はそこそこあるので様々な業界から飛び道具的なゲストを呼んだりもできるのですが、イメージソングはとりあえず笠原さんという流れもそれを助長していました。私の中では。企画自体も結構ぶっ飛んでましたし(「とんケチャ」とか誰得なんですか)。
 あ、でもやよいの「サビで音が外れてる」の台詞にサビを被せるという演出は狙ったんでしょうが、なかなかにひどいと思いますよ。しかもドラマ版からわざわざ引っ張ってきてるBOY'S SICKのソロは、コーラスや曲調による誤魔化しが無い分ストレートに表現されているので、言い訳無用ではないかと。まあ、この頃でも上手い歌はあるので、そういう風に歌えと言われたか、あの手のアイドルソングが苦手なのかもあるんでしょうが。


 最近文章を書くとどんどん長くなってしまうので、あと一点、社長の奥さんについて。
 高木順一朗社長がこのシリーズにおいて、声繋がりで銀河烈風バクシンガーのディーゴ近藤が採用されているのは周知の通りですが、奥さんの絵はバクシンガーのラスト前に登場した真幌羽士郎の姉、ミレイさんですね(声優はのざききいこさん)。外見は見た目通りなのですが、この人にディーゴがベタ惚れしていたというのが今回の元ネタです。普段のあの貫禄はどこに行ったんだというぐらいのうろたえっぷりは、確かに今で言う「萌え」なのかもしれませんね。ところでこの人の本名は「真幌羽ミレイ」なんでしょうか。弟が「士郎」なのに。まあ「ディーゴ近藤」という名前もありますから特別不自然ではないのかもしれませんが。
 ちなみにバクシンガーと言えば新撰組ですが、士郎のモデルは沖田総司で、実際に「みつ」という姉がいました。が、みつは新撰組の前身である「浪士組」の時代にメンバーだった井上林太郎と結婚(この時に沖田家の家督を継いでいます)しているので、この辺りは史実とは違いますね(ミレイさんはたぶん未婚。知りませんけど)。なお、この林太郎は近藤周助の元で剣を学んでおり、そして周助はディーゴ近藤のモデルである近藤勇の養父でもあり、沖田総司と共に浪士組に参加した古参メンバーでもあります。ただ沖田林太郎は浪士組から分裂した新撰組には参加せずに、江戸で残った浪士組が再編された「新徴組」に所属しました(仕事は江戸の警備等で、江戸版新撰組と解釈すれば良いでしょう)。
 こんな関係ないことばっかり書いてるから長くなるんでしょうが、新徴組があまりにもマイナーなのは個人的に解せないところなので、無理矢理にでも書いてみました。バクシンガーにも出てきませんでしたし。