F-ZEROファルコン伝説の思い出011

 Wikipediaに「子供向けではなく、むしろ『かつて子供だった大人向け』」という説明があります。ぶっちゃけると、この文章は私が書いたのですが……、この言葉はなかなか言いえて妙だと思いました。
 時間帯的には子供向けで然るべきなんですが、当然大人も観る以上「子供から大人まで楽しめるアニメ」にする必要があります。しかし、このアニメはどこか「子供が楽しめる要素」を忘れて作っている気がするのです。「子供向けを装った大人向け」とでも言いましょうか。全体に漂う古さとアダルトでキレの良いセンスは当然子供も楽しめるのですが、本来のターゲットは大人になっているような……。
 そう、今時こんな古典的設定に則れるアニメなんてそうそう無いんですよ。そして、そういうのを得意とするベテランスタッフもあまりいないわけで。そういう要素が運命の出会いをすれば、こんな迷作も生まれるってもんです。
 続編とか外伝とかやらないかなあ。せめてサントラ出ないかなあ。


 14話、鉄人ニールセンです。2クール目はほとんどがサブキャラメインの短編ですが、F-ZEROの登場人物のごった煮感が良く出ているので、楽しさという意味では一番ではないかと。
 今回はタイトル通り、シルバー・ニールセンがメインです。スランプ気味のジャックを鍛え直すお話でもありますが、メインはシルバーと、その過去について。過去にアンソニー・ロプキンというライバルがいて、しかし決着は果たせなかったまま燻っていたのが、コールドスリープによって再会し、再びF-ZEROレースで勝負するという、「忘れ物」のお話です。
 正直ありきたりではあるのですが、今時この手の話を恥ずかしげもなく書けるっていうのは、本当に良い事だと思います。レースシーンも白熱というよりは、70年という歴史を噛み締めるかのような、ゆっくりとした流れ。そして決着は未だ着かず、シルバーはまだ走り続けるという御決まりのオチも、やはり気持ちの良いものでした。ただ一つ言うなれば、アンソニーのマシンがゴールデンフォックスの使い回しだったのがちょっと残念でした。せっかくのF-ZEROパイロットのゲストキャラなのに……。
 え、ジャック?ジャック君は……、可愛いですよね。


 この場でついでに書いておきますが、いつだったかのF-ZERO教室でミスターゼロが紹介された時、第一回F-ZEROグランプリの写真が出ていましたね。そこに写っていたのはシルバーとアンソニーミスターゼロで、「このおじさん何歳なんだろう」という謎を残すわけですが、何故かファルコンとシャドー総帥も写っているんですよね……。このおじさん達何歳なんだろう……というギャグかと思わせておいて、それが実はちょっとした伏線だったとか、なかなか面白いと思いました。
 でも実はミスターゼロさん、第一回から実況してるとか先生は言っていましたが、シルバーの70年前の回想では違う人が実況しているんですよね。テレビ中継の解説役の人とか、どこぞのニュースキャスターとかだったんでしょうか。真相は闇の中です。
 ……たぶん設定が固まっていなかっただけだとは思いますが。