天空の王ムスカ

 金曜ロードショーラピュタをやってました。といってもすっかり忘れていたので、冒頭のワイン瓶でムスカが殴り倒されるシーンを観逃してしまいました。しかし、この映画最大の名シーンといわれる「目玉焼き乗せトースト」が観れたので満足です。ちなみに私は一番好きなのは、パズーがドーラばあちゃんの股の間から顔を出すシーンです。ばあちゃんの股のツルツルっぷりが妙にそそる、とでも言いましょうか(変態発言)。


 私が個人的に思っている事ですが、アニメにおいて「食事」を上手く描いているアニメには良作が多いと思います。料理ではなく、食事です。ですから料理アニメはちょっと法則から外れます。
 食事というのは人間社会において、一番生活感が現れていると思います。生きるためには欠かせないものですし、食事を通して人々と交流するのは大切な事です。また、人が普段どんなものを食べているか、どんな食べ方をしているかは、その人の人間性に繋がります。更に言えば、その延長として「作る」から「片付ける」までの過程も興味深いものがあります。
 アニメというのはいわゆる記号の集合体なのですが、だからといって「○○はこういうキャラなんだ」とか言われるのは面白いものではありません。アニメの中にも空気はあるのですから、「○○と食事している時にはいつも不機嫌そう」「箸の動かし方に癖がある」という風に見せた方が、より自然に物語に組み込めると思います。いえ、「キャラクター」たるもの、食事の中にも自己主張が現れて当然なのです。
 それに、例えばラピュタの場合、ドーラばあちゃんが豪快に肉を食うシーンがありますが、ああいうのはそれだけで爽快感があり、面白さに通じています。私も一度でいいから、でかい肉を口だけで貪ってみたいですよ。外側がムチムチで齧ったらはじけるんじゃないかというぐらいの、ボリュームあるマンガ肉を。
 他に食事で良いと思ったアニメは、かみちゅ!の冒頭等でしょうか。OP無しに始まった最初が玉子焼きを食べるシーンで、なんとその一カットだけで20秒以上使っています。これだけで一橋ゆりえという少女が大人しい性格で、しかもちょっとした悩みを抱えていて、更には物語ののんびりとした方向性までもが示されています。最近のアニメでは最初からして随分と人を食った演出が多いですが、かみちゅ!のように、人を食わずとも惹きこむ手法もあるんだと気づかされました。
 ただ、「食事」が「料理」に変わると、どうにも変な方向にいってしまいます。具体的には、ミスター味っ子のように。あのアニメのおかげで、料理アニメはロクデナシばかりになっています。勿論、あれはあれで面白いのですが。
 それと、ギャルゲーなどで見られる「壊滅的に料理が下手なヒロイン」というのも、どうにも……。女の子の可愛さを出すにおいて、料理が下手でまるでギャグになる、という設定そのものが悪いとは言いませんが、そもそもギャルゲーとは女の子とお付き合いするものなのですから、料理下手キャラを量産するぐらいなら、手料理による食事シーンをねっとりと書いた方が、絶対萌えると思います。勿論、文章だけでそれを伝えるのは難しいのですが、文章なら文章なりのやり方がある筈です。