今頃コミケの話

 昨日の「人として軸がぶれている」話に、はてなスターを押してくださった方がいたようです。こんな弱小サイトの、しかもオーケン素人の私の日記を見てくださるとは、ありがたい話です。でも友人に言わせると、「これ(はてなスター)あると押しそうになってやばいんや〜」らしいんですが、皆さんどう思いますか。
 昨日の日記のうちに予告をしておくとその日の日記を書く時に気分が締まりますね。私は普段、宣言するとダメなタイプなのですが、これからも実践してみようかしら。
 なお、これは昨日の夜に書くはずだった日記です。はてなはしょちゅうメンテナンスするんですよ。文句言っちゃいけませんが、やはり少々不便ですな。


 さて、コミケの話とは申しますが、あまり書くような事はありません。ただ、私は去年の冬コミが初参加で、夏は一度も行った事が無いものですから、同じように地方者の友人を引き連れて行ってみたという程度の話です。
 そこでの感想は……、やはり良くも悪くも人が多い。「一日目は企業に行くんだZE!TYPE-MOONに並ぶんだZE!」とか息巻く友人にくっ付いて行ったは良いものの(しかし、グッズとかには興味がなく、ドラマCDだけだった模様)、前日の夜10時ぐらいに並ぶのはやはりルール違反という奴でしょう。立地条件的に「比較的」周囲に迷惑はかかりませんが、何千何万という人が徹夜でぐにゃぐにゃと移動する姿は問題が起こらないのが奇跡なぐらいです。しかも、それが慣例化していますから大手サークルや企業スペース等は「並ばないと買えない、時間かかりすぎる」という状況です。
 冬を一度体験しただけの私にしてみれば、一見さんお断りに「なってしまっている」コミケはあまり好きではありません。勿論そんな事は無いのですが、ある程度経験して手馴れているか、同様の頼れる友人を持っているかしないと、初日徹夜などは無謀としか言えません。必要なものは、暇つぶしの道具に少々の夜食と水分、何よりも徹夜及び並びを乗り切る精神力です。私はとっくに人間が枯れているおかげで並びなどは全く苦痛ではないのですが、肉体は結構悲鳴を上げていました。
 そして、普段ならいつも感動する夜明けも、今回ばかりは「あと何時間だっけ……」とため息で過ごすだけです。時間外労働のスタッフさん(というかボランティア)の誘導にふらふらしながら、階段上ったり道路横切ったり、お互いにご苦労様というかこっちの方が失礼なのが分かってるから文句一つ言わず歩き続ける私達。ブロイラーってこんな感じなのかしら。


 そして、コミケ会場のかなり手前で並んで止まり、再びの移動時間を聞かされた瞬間に眠りに就きます私達。起きたらもう次の移動時間だべさ。得したような損したような。そしてとうとう感動の会場入りだー、と思ったら、また並び。敷地内には入れたものの、建物の中には入れず、よく分からないところで10時の鐘が(鐘じゃなかったかも)。これってコミケ開催の合図じゃんか。皆でぱちぱち。
 結局、友人が企業ブースから脱出できたのは14時だったそうで(自分の買い物だけなら12時には終わっていたらしいのですが、別の友人の買い物を頼まれていたらしいです。あんた人良すぎ)。私も大手サークルに並ぼうとしてグッチャグッチャになってました。といってもお互い迷惑を被ったというわけではなく、ひたすら岩のように並んで、移動する際に足元踏まれたとかその程度だったようですが。
 私にはまだ余裕がありましたが、友人が哀れで見ていられなかったので、一日目はこの辺りで終わりました(といっても、彼は買い物頼まれた友人と合流するので、私はどの道一人なのですが)。邪魔にならないところで一休みしながら、軽く談笑します。まずは「これ買えた?」とか「どのぐらい並んだ?」とか即物的な話です。お互いに内容は分かってるというのに、やっぱり疲れてるんですね。
 一通り愚痴った後、どちらともなく「楽しかったか」を聞きました。……これは正直悩みました。一般論で言えば、こんな現状は楽しいはずがないのです。にもかかわらず、並んでる私、移動する私、買ってる私は荒んだ顔だったかというと、そんなわけでもないのです。疲れるけど、やっぱり楽しかったのかもしれません。でも疲れた……そんな感じですか。
 そんな話を友人に振ったら、ニヤリと笑われました。私はどうも友人から見れば「詩的」らしく、「そりゃ、コミケ参加者のオーラに当てられたんじゃね?」とかなんとか。つまり、祭りの雰囲気ですね。バラバラの皆がなんとなく集まって、大きな事をしようとしている……、そういう空気を、私は楽しんでいたのかもしれません。
 友人は「オーラ」が見えると言います。彼はかつて偉い音楽家の人にちょっとの間指導してもらっていた事があるのですが(そのままやってれば食っていけそうだったのに……)、その音楽家はどんな時でも、そこにいるだけで圧されるような雰囲気を持っていたらしいです。勿論普通に近づく事もできるのですが、その人の前に立つと自然と萎縮してしまうとか。彼がその人を見た時、試合中に主人公の利き腕が使えなくなってしまうシーンの集中線のようなオーラが見えたそうです。
 たぶん、何かの見間違いだと思うのですが(法螺の可能性も大いに)、それからもたまに街中などでオーラを感じ取る事ができるようになったといいます。そして、コミケは会場からして威圧感があり、それぞれの参加者は大なり小なりなんらかの輝きを持っているらしいのです。……私なんかより、彼の方がよっぽど詩的だと思います。
 まあ、偉い人は空気からして違うというのは分かりますし、悲しい人と楽しい人だったらどっちが「明るい」かと言えば、そりゃあ楽しんでる人です。ちょっと空気に敏感な人なら、そういうものを遠くから見極める事だってできます。そういうものをオーラと表現したのでしょう。そういう意味でなら、私もあの空間は楽しかったと思います。
 考えてみれば、「明日の楽しみの為に徹夜」なんて学生でもなかなかやらない、「特別な日」ではないでしょうか。そしてコミケは「自己表現の場」でもあり、「見知らぬ人との交流の場」でもあり、「他では手に入らない貴重なグッズ購入の場」でもあります。そういう「祭りの楽しさ」を凝縮したものなんですよね。それに参加するとなれば、疲れこそすれ楽しくないなんて言えませんね。
 上の方の文章では結構ボロクソに書いていますが、やっぱり「その疲れもまた醍醐味」という奴かもしれません。その意味では、私はコミケを大いに楽しむ事ができました。そんな感じの感想を、その時の彼には言えませんでしたが、一人で休みながら考えて、二日目は軽く参加して、三日目は始発で並びました。いっぱい並んで、いっぱいものを買って、わけも分からず適当に歩きまわったりして、楽しかったです。


 ただ、それでも言うなれば……、人が多い事でしょうか。参加すれば楽しいという事は分かりましたが、それでも並ばなければ手に入らないグッズなどは正直勘弁してほしいものがあります。友人のグループには「なのは」に並ぶだけで一日の体力と時間を使い果たしたとか、そういう人達もいるわけですから、もういろいろと限界に来ているのではないでしょうか。
 勿論、人間の体は一つですし、一日で全部のスペースを回るのは「並び」が無くても無理です。しかし、コミケにしか顔を出さない、でも輝くものがある個人サークルなんかを求めてやってきた私などにとっては、今の盛況ぶりは辛いものがあります。
 「じゃあ並びを諦めろ」とは友人に言われました。全くその通りです。結局のところ、打開策が無いのです。これ以上大きな会場なんてありませんし、日程だってギリギリです(これ以上開催日を増やしたら運営さんが気の毒すぎます)。気軽に参加しようと午前中の電車で行ったら、一般入場が自由になるのは午後とか言われてなんじゃそりゃとか、もう問題点が多すぎて突っ込もうにも突っ込めないようになっています。
 だからといって「運営が悪い」とは言えないんですよね。「コミケは皆が参加者。客という概念は無い」という話は今回で痛い程分かりました。文句なんて言えるはずもありません。むしろ準備会の人全員に差し入れを届けたいぐらいです。
 この辺りまで来ると、私の脳味噌が考える事を放棄しています。明らかに悪いのに、悪いとは言いたくない……、問題点はあるのに、それを指摘してもどうしようもない……、「鶏が先か卵が先か」に通じる議論ではないでしょうか。そして、ただ漠然と「良くも悪くも、コミケは変な空間だ」という結論に辿り着きました。この感覚、文章化できないのが非常にもどかしいです。


 ただ、並ばないとダメだ、というのは正直私には辛いものがありました。楽しかったのですが、それでも辛かったです。ですから、次回以降はよほどの事が無い限り、参加は止めておこうと思います。地方者ですし、お金もありませんしね。
 代わりに、地方者なら地方者らしく、地方のイベントに行ってみようと思いました。三重県民である私の場合、http://www.geocities.jp/shinbaku/こちらに四日市市での同人関係のイベントの詳細がありましたので、9月下旬は予定を空けておきます。……考えてみれば、コミケ以外のイベントに行くのは初めてだったり。
 なお、例の友人は四日市市出身なのですが、このイベントは私に言われるまで知らなかったようです。なんかムカついたので、観光案内させるついでに連れていきます。