Nice boat

 スクールデイズ最終回はそのようにすっ飛ばされたと評判ですが、テレビ愛知では普通に情報番組をやっていたと思います。思いますというのは、時間になってテレビを点けたらそれっぽいのをやっていて、面倒だったのですぐ寝てしまったから記憶が曖昧なのです。
 一応、世間体というものを考慮しているから、というのが一般的な「言い訳」とされていますが、アニメファンはこれで納得しないというのも事実です。私だって、「誠死ね」「あんな屑はもう観たくない」とは思うものの、それ以前に最期まで作品が観れない事自体が不愉快ですからね。
 ただ、この流れで「また『アニメの影響で〜』とかなんとか言ってるけど、そんなわけないじゃないか」とは言いたくありません。むしろ、それを言っているのは本物の阿呆か、それを主張しているオタクだけではないでしょうか。
 少女が斧で父親を殺害、これは非常に痛ましい事件です。あってはならない事だと思います。「恐らくは」。
 私はおよそ殺人事件というものには全て懐疑的な意見を持っています。盗人にも三分の理という言葉があるように、許されるかどうかはさておいて、ほとんどの場合「殺すだけの理由があった」から殺しています。この事件の場合、父親の女性関係に不満があったという事です。年頃の娘なら、父親の動向は気になりますから、殺す理由はあるわけです。そして、理由があれば殺して良いとは申しませんが、結局人の行動の価値基準は法律などでは測れませんから、この殺人事件はこれで完結します。
 そして「斧で殺害」という狂気性ですが、これは正直アニメとか漫画の影響はあるかもしれませんけど、じゃあ影響が無かったら殺さなかったのかというと、それも違う気がします。「殺したい」と思った時に、彼女の頭の中にあった「身近な凶器」が斧であっただけで、そうじゃなかったら包丁とか、他にも「殺す道具」は身近に無数に存在していますからね。
 そもそも、「影響」という言葉は非常に便利です。人はとにかく「影響」を受けやすい人間ですし、「私はアニメに全く影響を受けていない!」と豪語する人は、それはそれで「影響を受けている」わけですから、どうとでも解釈が可能なわけです。もしこれで凶器が包丁だったとしたら、「料理番組の影響を受けての犯行」ともする事はできるでしょう。何しろ、料理番組は毎回包丁で肉を切り刻む、恐るべき内容ですからね(勿論、今回の事件はホラー好きという少女の趣味が出ていますが)。
 そして、「また『アニメの影響で〜』とか言うのかよ」と呆れる人々も、やっぱりメディアの影響を受けています。今回の事件でそれしか考えられないというのなら、マスコミよりも短絡的ではないかと思います。
 今回アニメが放送中止になりましたが、それは当然というものです。事の真偽はどうあれ、「唯一の真実」が「少女が斧で殺害」という「一般的狂気性」が現れている以上、それを思い起こさせる番組の放送を見合わせるのは妥当な判断ではないかと思います(少なくとも、京都でのひぐらしの対応はそうでした)。
 事件や災害が起きた時、それを連想させるような番組というのは、関係者や付近住民に対し「不謹慎」です。勿論扱うテーマにもよりますが、今回のSchool Daysは最初から猟奇エンドが予想されていて、しかもそれが男女関係のもつれでした。ひぐらしは殺人は目的ではなく手段(及び表現手法)でしかありませんが、ひぐらしを語る上での猟奇性は、これ無しでは語れない程に「有名」です。これはさすがに不謹慎というか、避けるのは止むを得ないと思います。


 なんだかこの事件を通して、アニメファンの考え方が少しだけ古いのではないかとも思えてきました。私は、深夜アニメなんてオタクしか観ない、というのも過去の話だと思います。既に10年以上続いているカテゴリーですし、ハルヒ等は一般人でも内容はどうあれ、認知度は高くなっています。「特別アニメオタクじゃないけど、深夜は寂しいからなんとなくアニメを点けておく」のような「潜在的視聴者」も多いと思います。
 マスコミとかテレビ局はアニメファンから散々けなされたりしているというのが「アニメオタク鑑賞者」としての私の印象ですが(万引きGメンGメンみたい)、そもそもアニメって結構儲かる商売だと思います(制作側はともかくとして、流す方は)。固定客が確実にいますし、ここ数年の時間枠の増大や特集を考えれば、局はアニメを重要視していると思います。
 大昔、深夜アニメが無かった時代、事件等の影響で夕方等のアニメが中止になった事例は幾らでもありました。そういう危ないのはOVAから深夜アニメにシフトする形で「住み分け」を行っていたわけですが、近年のアニメコンテンツの増大と共に、再び同じような状態になっているんじゃないかと思います。
 また十年ぐらいしたら、深夜アニメも一般的になって、また新しいアニメの枠が作られるかもしれませんね。アニメ専門チャンネルのみでの放送とか、ネット配信の増加とか、新しい住み分けの形態が提案され、深夜アニメと一般アニメの違いは実質「時間帯だけ」になるのは、そう遠くないと思います(もう来てるかも)。