「はやて×ブレード」ドラマCD Vol.2

 なのはStrikerSって結局登場人物が多すぎて、それを並行処理しようとしていたから失敗したんじゃないかと思います。人間それぞれにドラマはあって当然ですが、一つの事件でそれが全て解決するというのはどうなのかなあと。
 そう思うと、ガン×ソードのまとめ方は上手かったと思います。登場人物の中には解決しない物語もあって、それが不自然でないような作りをしていました。重要なのは解決するのではなく、答えを出せるかどうかという事でしょうか。人によっては事件を通して確実に変わる事ができても、別の人は事件によって「変わるきっかけ」を掴むだけという、寂しさこそあれ抑えるところは抑えていました。
 「なのは」の物語のポイントは、「でかい悪」があって、いろんな過去を持った人間がそれに立ち向かうのですが、全ての過去の根源がそこに集結しているので、その悪を吹き飛ばせばハッピーエンド、という感じでしょうか。ものすごく乱暴な表現ですが、大体そんな感じだと思います。
 そんなわけで、人物が多くなればなるほどわけが分からなくなるのですが、ティアナ関連の話だけは面白かったかもしれません。勿論それなりに過去を背負っているのですが、凡人である事に劣等感を持ち、でも最終局面ではそれを補う大活躍という感じでした。他のキャラもライバルを倒している事では同じなのですが、全体的に描写不足だったものですから、「ここで盛り上がられてもなあ」という感じで、一方ティアナは「できない子が頑張った」という、それだけで「変わった」事が分かるようなものでした。要は地味だったんですが、地味で良かったと思います。


 で、今回の本題はなのはではなく、はやて×ブレードのドラマCDです。ノンケでも構わず食ってしまう程にいろいろと趣味が偏ってる私ですが、林家志弦先生の描く漫画は大好きだったりします。林家先生を知ったのは二年ぐらい前のとある個人イラストサイトだったのですが、サイボーグ009の如き制服とやたらバカっぽい顔の黒鉄はやてに惚れて以来のファンです。
 ドラマCD1では初期のエピソードを中心にして構成していましたが、こちらでは人気投票を元にエピソードを作っています。収録されているのはメイド祭りならぬ学園祭より「バカ・カーニバル」「バカ・フェスティバル」「バカ・サバイバル」という、タイトルだけ聞くと仮面ノリダーみたいなエピソードですね。まあこの辺りは原作とほぼ同じなので、特に語るところは無いかと。神門玲様ファンクラブ会員ならば必聴でしょうが。
 あっさり書いていますが、実際はちょっと不満だったりもします。何故なら、それはメイド。メイドだからです。全員が多種多様のメイド服を着てボケとツッコミの嵐を入れるというのは、やはりビジュアル面があった方が良いなあと思いました。ストーリーは大体同じなので、原作コミックスを読みながら聴くと良いかもしれません。
 そして、学園祭が終わってからの書き下ろしエピソード「オールナイト・バカ」「グッドナイト・バカ」の二つが収録されています。片方は神門玲様を中心とし、もう一方は静馬夕歩が仲間と電話するという話です。特にぶっ飛んだ内容ではありませんが、大騒ぎの学園祭の後にはこういうエピソードがあったんだなという感じの、中休みの話ですね。
 しかし、この作品もとにかく登場人物が多い。しかも負けたからといって脱落はせずしつこく自己主張し続けるキャラばかりのお祭り話なので、下手をすると誰が誰だか分からなくなります。声を聞き分けるのがヘタクソな私なら尚更です。
 そんな中で輝いていたのが、今回のメインである神門玲様。皆川純子さんの声には正直痺れました。あと、出番は少ないのにやたら目立とうとする帯刀とか、何をしても輝いている会長とかが印象的でしたね。間宮くるみさんのハム太郎ボイスな黒鉄はやても勿論ですが。
 それとちょっと迷ったところに、エピソードごとの切れ目が無かった事がありました。本編はどうせ続きものですからそれでも良いのですが、アフターの話はタイトルを言うぐらいはあっても良かったんじゃないかと思います。一瞬話が飛んだかと思って、巻き戻してしまいました。
 ちなみに、前回唯一の男キャラ「ヤクザ」が大塚芳忠さんでしたが、今回はじゅんじゅんのお父さんに小山力也さんが参加しています(番外編でも警備員っぽい人で登場していました)。今回はテーマトークキャストクレジットにも参加しており、「華やかな現場」だ等と……。基本的に真面目な人なのに、どうしてもハクオロさんが見えてしまうのは、私がダメ人間な証ですね。


 ハム太郎、良いですよね。