山本先生

 山本正之先生の「ザ★短編」を聴いていて思ったのですが、通常楽曲の歌詞は著作権で保護されていて、迂闊に全文掲載するとJASRAC殿が絶唱カラオケマンを歌いながらやってくるわけですが、歌詞の引用がごく一部の場合、あるいは「被らざるをえない一般的な単語」の場合は引っかからないという話があったと思います。
 で、『奈良公園のシカ』は「修学旅行の制服に ついていこう」が歌詞の全文です。これは引っかかるんでしょうか。
 まあ、私が引っかかるとすればニコニコ動画に挙げてる風野の動画なんですけど。あっちは言い逃れができません。風野に責任転嫁もできますけど、それじゃ風野がかわいそうですからね。


 この「ザ★短編」に収録されている山本先生の処女作は「ほっぴんぐ」だそうで、1956年のものらしいです。つまり、先生が5歳ぐらいのとき。これは楽曲というより、ただの「子供の喜び」なんですけど、ちゃんとした楽曲に昇華させる山本先生の力はいろいろな意味で恐ろしい。他にも「テレビ」とか「フラフープ」も子供の頃に適当に歌った歌だと思うんですが、こういう形で子供の頃を忘れない先生は本当に尊敬してしまいます。
 で、そういうものに著作権を適用してもなんだかなあと思ったり思わなかったり。


 ヤッターマンはしばらく観ていきますが、正直面白くない部分も多いです。まあ一番目に付くのはOPですか。曲に抑揚がありません。山本正之先生がそのままやれというほど懐古主義者ではありませんが、あの歌をそのまま使うならそれに合った歌い方があるのも事実。「ヤッターマンのうた」はカッコよさと間抜けさの入り混じった絶妙な曲であり、そして非常に歌いやすいのです。それらは全て「SFギャグアニメ」を象徴するものであり、そしてあの時間帯のアニメに欠かせない「親しみやすさ」に収束するものです(30年前の山本先生がどこまで意識していたかは知りませんが)。今の山本先生が落胆するのも分かります。
 そして、あの曲は明らかに「未完成」です。山本先生は最初デモテープだと思っていたらしく、正式採用される際にはもっと変わると期待していたのが……という行き違いらしいのですが、どうしたもんだか。OP映像もあの曲に合わせようと「頑張ってる感」があるように思えましたし。
 そしてもう一つ、三悪とドクロベー様の声がもう一度聴けたのは感激という他無いのですが、あの4人だけ馴染みすぎて他が付いていってないとか思ったり。
 でも、ナレーターは故富山敬さんに代わり、多くの富山キャラを引き継いだ山寺宏一さんですが、単に富山さんの模倣に留まらない新しいナレーター像を作っているのが印象的です。三悪の次ぐらいに重要なキャラですからね、ナレーター。