think a little (少しだけ考える)

 おっホイ。
 思考は現実化する
 ot02070
 いつもは他人のブログとかの紹介はしないのですが、昨日の「恥ずかしい動画」への反応が少なからずあったので、失礼ながらリンクさせていただきます。
 昨日の風野の動画は要するに、「MAD制作は褒められたものではないという意識を持つ必要がある」という心構えのようなことを書いていたわけです。で、何故それが話題になるかと思えば、「アイドルマスターMAD」というジャンルの懐の広さにあるのではないかと。
 ナムコがそうなのか、それともアイマスチームだけがそうなのか分かりませんし、「ゲーム画面を使っているのは許せんけど少なからず宣伝になってるから許してる」のかもしれませんが、とにかくアイマスMADはほとんどが削除されずに残っています。今までに問題となったのは、MADPVに使用した別アーティストによるものしかありません。つまり、ゲーム画面やゲーム音楽を弄ってる分には全く訴えられていないのです。
 今度発売される「LiveForYou!」も、明らかにニコマスMAD用に特化した内容ですし、二次創作などで人気となった設定が公式にも少しずつ影響を及ぼしています(春香の黒化に関しては、中の人も影響しているでしょうが)。「限りなく公認に近い黙認」とでも言いましょうか。公式に「ニコニコ動画が〜」のような発言こそほとんど無いものの、好意的に観ているのは間違いありません。
 しかし、「わあい、ファンの気持ちが制作者さんに伝わったぞ」で終わる話ではありません。元々MADというものは、音声と映像を別のもので組み合わせた、「間違ったもの」なのです。制作者が一コマ一コマ頑張って作った映像であるとか、一音一音組み合わせた音楽であるとか、そういう技術の結晶をバラバラにして混ぜてしまうものです。それは当然感情的にも「元の映像、音楽を侮辱するな」というものですし、「CDとかDVDが売れなくなるじゃないか」という利益の問題もあります。特にアイマスMADの場合、曲に合わせて踊ってるのが基本ですから、パッと探すだけでCDアルバム数枚分はタダで聴けてしまいます。
 アイマスMADのありがたいところは、映像素材についてはほとんど文句を言われないことですが、それは一方で危うさも孕んでいます。「そうでない素材」については文句を言われるかもしれないし、そもそも「文句を言われなければ良い」というものでもないのです。でも、「映像という面で文句を言われない」という安心感が、時としてそういう問題を忘れさせるのではないでしょうか。先日の風野が正にそうでした。


 風野は山本正之先生をメインにMADを作っています。その理由はいろいろあるのでしょうし、ここで風野の考えを代弁しようとは思いません。ただ私が言いたいのは、「どうせ作るのなら、失礼の無いものを作れ」です。許可を取らずに音楽を使っているという最低の行為を犯しているのですから、せめて「面白い」「よく考えられてる」動画を作らなければならないと思います。
 山本先生と言えば、「アニメがなんだ」とかでも歌っていますが、曲の権利に一家言ある人です。ヤッターマンの主題歌の話もそうですし、本来なら素材として使うべきではありません。いえ、山本先生でなくとも使うべきではありません。MADとはそういうものです。ニコニコ動画などで公開するならなおさらです。アイマスチームからは褒められても、「MAD」そのものが褒められているわけではないのです。
 でも作る……というからには、それなりの覚悟や敬意を持つべきなのです。そうでなくとも、「そういう世界がある」「そういう世界にいる」と思っておく……、それがMAD制作者の、せめてもの仁義ではないかと思います。
 風野があの動画で最後に書いていた「いつ死ぬとも分からぬニコニコ動画」という言葉は、それを象徴しているのではないでしょうか。著作権の定義が変わろうとしている現在において、ニコニコ動画は渦中にいます。明日にでも訴えられて、そのまま終わるかもしれないのです。
 日本の著作権法自体はもう何十年と前のものですから、インターネットでの情報交換やメディアの保存方法が容易になった現代にそのまま適用できるとは思いません。恐らく近いうちに大幅改正されるでしょう。ただ、それでニコニコ動画のようなサイトが大手を振って歩けるとも思いませんし、法律とはあくまで「多くの人々が『守るべき』と考えた平均」でしかないのですから、仮に全て許されるようになっても本質は変わらないと思います。「法律は許しても、やっぱり私は許せない」という人を、誰が非難できましょう?
 だからこそ、せめて心をこめて……、そうあるべきなんじゃないかと、私は思います。それは法律では量れない、人と人との繋がりのようなものではないかと。結局、物事は全て突き詰めれば「人と人」なのですから、その部分だけでも、ほんの少しは正しておいてほしいと思います。


 MADを作ったことの無い私ですが、風野の片棒を担いでいるので、それなりの責任は背負っているつもりです。勿論この意見が全て正しいとは思いませんし、批判もあるでしょうが、この話題は考えても考えすぎという事は無いと思います。
 この文章を読んでくださった人へ。私の意見を鵜呑みにしたり投げ捨てたりするのではなく、私の意見から何かしらの発展した意見を作り出してくれれば、嬉しく思います。