雨降り石川

 傘を盗まれました。どうして傘立てにある傘が盗られるのか、いつも疑問でなりません。まめに持ち歩いたりしているのですが、雨粒垂らしながら歩き回るわけにもいきませんし、邪魔にもなります。まあ、そんな日もあるのです。
 でも、私はこれでも傘を盗まれるのが大嫌いなのです。自転車を盗まれた時よりも、財布を掏られた時よりも、友人が待ち合わせに半日遅れた時よりも、傘を盗まれるのは本当にイカン。
 私は常々疑問に思っています。「傘を盗んだヤツは、盗んだ傘をどこに持っていくのか」とか。また、その傘立てに出入りしている人間(傘立てに出入りしてもしょうがないですが)は少人数ですので、ある程度犯人の特定もできます。つまり、「毎回盗んで、毎回傘がどこかに消えている」んですよね。
 これはもう、どうにもこうにも分からない。仮に盗んだとして、当然盗む時は雨ですから、自分の家に帰るのか、それともちょっとした所用で外に出るだけなのか、それは分かりませんが、傘を差しながら出て行くわけです。外に出るというからには、やはりどこか中に入る時もあり、その時に傘はどうするのか?いちいち盗むリスクを考えてないのか?あーマジムカつく。傘を盗むヤツは全員死ね。たとえ数百円でも窃盗は窃盗だ。アホ。こちとら名前入りの傘ですら何度も盗まれてんだ。今更丈夫で高級な傘なんか買えるか。コンビニで十分で、それでも買う時のやるせなさがお前に分かるか。分かるわけねー。


 もし私がスタンド能力を持てるとしたら、無限に傘を作れる能力を希望します。それで70億本の傘を用意して世界中にばら撒いてやります。特に私に関わりの深い日本人には全員百本ずつ。もう盗むなんて気が起きないぐらい、世界中を傘で埋めてやります。
 最早何が言いたいのか自分にも分かりませんが、傘は大事なんです。大事な大事な、私の体の一部なんです。たとえ数百円でも、それが無いと雨の日は外に出られない。それぐらい私は弱い生き物なんです。だから盗まれるのは耐えられないんです。あなたも同じ、人間なら人の弱さぐらい分かるでしょう?自らの弱さを他人から奪う事で補うなんて、あまりにも悲しい事は止めてください。


 お酒飲んで寝ます。明日は晴れますように。