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 聖闘士星矢冥王神話OVA化……、それも手代木さんの絵で。
 聖闘士星矢と言えば、まあ同人界隈にそれこそ流星の如くやってきた漫画であり、手代木先生も星矢の同人を描いてたそうです。その意味で、「星矢が同人絵でアニメ化」というのは、なかなか興味深い話なのかもしれませんね。だからどうというわけではないですが。あ、ちなみに手代木先生はむしろ好きですし、LC星矢はアノ絵じゃないと成り立たないでしょう。あと絵が変わって、しかも舞台が本編とは違うのですから、声優交代で揉めた冥王編と同じ問題は起きないでしょうね。
 なお、車田先生は先日リンかけ2を終了されましたが、どうやら星矢にもちょろっと関わるご様子。公式サイトの日記には「花の鎖」なる詞の仕事を乗せていて、歌詞の中に「心のキャンバス」とか入っているところからも察するに、主題歌の作詞を担当するのでしょうね。
 ぶっちゃけ、車田先生は漫画家としてよりも、こういう全体のイメージとかの方面で関わった方が良い仕事ができるんじゃないかと思います。本人がそれで満足かどうかは別として、聖闘士星矢は聖衣のデザインを始めとして、車田先生以外が作ってる部分が少なめです。キャラクター設定や性格、展開を考えて、その上で誰かがアレンジすると良い感じになる、というのでしょうか。
 でも、ND星矢はどうなったんですか?ひどい言い方をすればLCの方が遥かに面白いので、もう連載しろとはいいませんから、せめてどうなってるのかは教えてほしいものです。


 同人というのはファンの二次創作なのが現在の主流となっていますが、好き者達が勝手に集まって自由に作るというスタンスは、時として本家より面白いものを作り出す事ができます。今回の手代木先生のLC星矢もそれは同じで、元々の聖闘士星矢が持っていた魅力を、ファンならではの視点とリスペクトを用いて描いており、本家を超えるのとは違うところで面白さを発揮しています。
 例えば蟹座の人ですが、この人の「積尸気冥界波」やその能力から考えると、明らかに冥王編で活躍するべき人なんですよね。冥王に対して冥界に通じた能力を持つ戦士をアテナ側が用意した、という感じのバックボーンがあるのかもしれませんし、そうでなくとも「ワルっぽい力を使う味方」は魅力的です。
 でも、本編では黄金聖闘士皆が敵という展開でしたから、その中で「カッコいい悪役」と「救いの無い悪役」が用意されるのは必然なわけでして、「もし蟹座が冥王編で活躍したら、してくれたら……」という取っ掛かりを残してしまいました。おかげで全国の蟹座はひどいイジメにあったとか会わなかったとか……って、これは関係ないですね。
 でも、同人ならば自由に物語が書けます。カッコいい蟹座もアリなわけです。手代木先生は蟹座の戦士を「死の神タナトス」と絡ませ、全国の蟹座の心を掴みました多くの読者を物語に引き込みました。これは二次創作ならではのお話です。勿論LC星矢は二次創作ではありませんが、本編に対する副次的な物語という点では同一だと思います(あと、同人界隈でも蟹座はギャグキャラ扱いなのが共通認識のようですが……)。


 聖闘士星矢は、かなりの可能性を残しています。連載中はかなりの部分を勢いで描いていたと思うのですが、その勢いでぶち上げた設定やキャラクターがカスかというと、それは違うわけです。描き方次第で、幾らでも面白い二次創作が生まれるというのは、これもやはり「面白い漫画」である証拠だと思います。その結果が「前聖戦の物語」であり、手代木先生の描くLC星矢でしょう。
 ちょっと文章が混乱しているんですが、OVAは素直に期待しています。