ヤッターマンが朝に移動したよ

 そんなわけでテコ入れというか、かなりイメージチェンジを計ったようですね。尤も、子供には元々そこそこ支持されているみたいでしたが。
 まず恒例のOPはTHE ALFEE高見沢俊彦さんで、曲調はハードメタル。私はメタルに詳しくないのですが、ヤッターマンの「ノリ」は失われていないようですし、アリだとは思います。ただ、緩急があった方がヤッターマンらしい気もするので、まあ馴染むまで聴くしかないというか……。
 それよりもALFEEと言えばアレですよ。府中捕物控ですよ。30年以上の時を越えて再び山本さんと出会うとは思いませんでした。ヤッターマンの歌のシングル発売の際には、カップリング曲を「府中捕物控」あるいは「明日からよその人」でお願いします。今のALFEEとは全然作風が合わない気がしますが。
 そして今週からドクロベエの孫ドクボンがレギュラーで登場しますが、ドクロベエの役割をそのまま受け継ぐわけではなく、かといってニャラボルタのようにドロンボーに同行するわけでもなく、独自のポジションで動くようです。敢えて例えるなら、イッパツマンの「隠球四郎」が一番近いでしょうか(笑)。また、アイちゃんに惚れてガンちゃんをやきもきさせる辺り、本格的に絡ませるんだろうなーという印象。
 ちなみにドクボンは子ブタロボット「ネエトン」に乗って行動するみたいですが、これの声がオモッチャマと同じたかはし智秋さん。その名の通りオネエ言葉というのでしょうか、特に捻りは無くそんな感じの性格のようです。……それにしてもこのアニメ、何気にたかはし智秋無双ですよね。
 そしてヤッターマン側も変更があり、ジンベエザメ型の母艦メカ「ヤッタージンベエ」が登場します。役割としてはヤッターキングと同じですが、ジンベエザメらしく平和主義者なところが特徴でしょうか。恐らく、ヤッターワンが生きている以上ヤッターキングを出すのもアレだなという事で新メカなのでしょうね。
 どうでもいいですが、ガンちゃんがヤッタージンベエを作るきっかけとなったエピソードが、「災害救助に出て行ったら三体のメカがバラバラに到着して困った」というもの。「ヤッターマンが災害救助」というだけで十分以上に新鮮なのが妙におかしかったです。ああ、ヤッターマンって世間に認知されてるんだなーって。


 さて、「こんなのヤッターマンじゃない!」と言うのは簡単です。しかし、それは第一話の時点で言うべき言葉です。でももう結構番組が続いちゃいました。そんな時、私の中のジョースター卿が仰いました。「逆に考えるんだ、もう完全に新番組だと考えるんだ」と。
 正直な話、枠移動一回目の今日のヤッターマン、結構面白かったです。それは新キャラの意外性というところにあるのは勿論なのでしょうが、元々ヤッターマンは風野君も言ってたように、快傑ズバットに並ぶ「ヒーローの極北」なのです。それはそれで美しいのですが、完成されすぎていてあまり話を広げられないという弱点も抱えていると思います。
 元々「ガンちゃんやる気なさすぎ」とか「アイちゃんの○○パーが正直ウザイ」とかボロクソに叩かれていたヤッターマンです。しかしもう、ここまで来れば逆にアリです。ヤッタージンベエの変形ギミックはシンプルながらも心震えるものがありましたし、ドクボンは口調とか性格はともかく、話を動かしやすくするには丁度良いキャラでしょう。
 恐らく、最初のヤッターマンは「昔ながらのファン」「新しい世代の子供」の両方を狙おうとして、どこか狙いきれていないところがあったと思います。そしてここで朝に移動する事で、昔ながらのファンをほぼ完璧に切り捨てたように感じました。しかし、その思い切りの良さが、昔ながらのファンである私には逆に魅力的に映りました。「もうこれ新番組じゃね?」とか「最初からこれぐらいやってくれれば良かったのに」とか、そんな感じの感想を抱きました。
 ヤッターマンは、子供に受ける番組であるべきです。でも何故か大人でも楽しめてしまう……、そういう懐の広さが大事だと思います。しかし、その場合の大人を「昔ヤッターマンを観ていた人」と定義してしまうと、それは大きな足かせになってしまうように思います。
 私はヤッターマンが観たいんじゃないです。「大人が観ても面白いアニメ」が観たいんです。それが「昔のヤッターマン」だっただけで、現代で「昔のヤッターマン」をやられても、逆に面白くないと思います(「昔のヤッターマンの再放送」なら今でも十分ヒットするでしょうが)。
 ここまで好き勝手にやってくれて、それで子供が楽しめていれば、それはそれで十分です。むしろ今の状態は、「昔ヤッターマンを観ていた大人」に媚びていませんから、オッケーです。だったらそこで大人が「俺たちも楽しませろ」とワガママを言うのは止めて、「子供達も楽しんでるみたいだし、これはこれで良いかも」というような見識を持つ必要があると思いました。


 ただこの話、本当に子供に受けるのかは分かりませんし、今の「昔ヤッターマンを観ていた人」がどういう気持ちで観ているのかも知りません。ひょっとするとかなり的外れな話をしているかもしれませんが、要は「今週のヤッターマンは面白かった」という事が言いたかっただけなので、他は勘弁してください。