疲労の一大コラボレーション

 全然関係ないけど、一度は使ってみたい概念「暗黒微笑」。未熟者なので使いこなせませんが。
D
 あの人については打ち切られることで完成する漫画だと思います。


 台風の中うどん食べに行って帰りに降られたおかげで体力を奪われているのですが(馬鹿)、今月も感想を書きましょう。愛ちゃん編第二話?いや三話?恐らく愛ちゃん編はタイトルにJ9を感じることで縛りを作ってるんだと思いますが、18話前編が「熱風の豆タンク」だったので、ひょっとすると三話目かもしれません。
 前回「愛ちゃんには仲間がいない」というような話題が出ましたが、今回はそれに対応して仲間フラグを立てまくるお話ですね。愛ちゃん愛されてます。こりゃあ、次の話では全てが愛ちゃんに収束しますよ。しかも「それに気付かないのが日高愛」と前回言われてましたから、なかなかシュールな光景が出来上がる気がします。いや、それに気付くことで成長とオチを表現する可能性もありますか。


 さて、元々原作でもまなみさんは事務所辞めて立場上は敵になっても愛ちゃんの味方っぽい立ち位置だったのですが、この話の中ではそれが明確になっていますね。それを最初に提案するのが、恐らく岡本まなみの最大の被害者である涼君という構成は、涼君の成長も書けてて上手いなと思いました。……でも表情から察するに、涼君はまだ怒ってるように思います。いやホント、どうしてあんな超天海になっちゃったのやら。このお話の中では事務所の経営と本人の精神状態的に「やるしかなかったんだ!」となってますが……。
 今回のメインはいおりんこと水瀬伊織。ゲーム中での絡みはありませんでしたが(レッスンにも登場しないのでお互いの呼び方すら不明)、実はこの二人「優秀な家族」にコンプレックスめいたものがあるという大きな共通点があります。伊織の場合は親が実業家(財閥持ち?)で兄がその優秀な跡継ぎといった風で、愛ちゃんの場合は母親が元(現?)トップアイドルというわけです。伊織も、コネを使わずに頑張ってる愛ちゃんに対して何か思うところがあったんでしょうね。言葉は若干刺々しくてもいろいろと世話してくれるいおりんはツンデレの鑑です。
 そしてゲスト出演は近頃人気の魔王エンジェルから半角スペース三条ともみさん。マイリストコメントでも書いてましたが、登場時の「むひゃ……むひゃ……」という泣き声はR.O.Dのマギー・ムイのものですね。主人公の三姉妹の次女で、長身なのに暗くて狭いところが好きな上に人見知りで無口という、外面の設定だけ聞くと非常にアレな感じなんですが、いざという時は強かったり意外に器用だったりするキャラです。で、そんなマギーの声は真君と同じ平田宏美さんなわけですな。オーディオコメンタリーでは正反対に明るいトークで、また細かいところでアドリブを入れてキャラクターを作っていたという平田さん、アイマスではその辺り存分に発揮されているようで良いですね。ちなみに私がR.O.Dで一番好きなキャラは千葉一伸さんが演じていた独特のイントネーションを持つ先生です。
 また、三条ともみさんの電話口の相手は恐らく同じ魔王エンジェルの朝比奈りんさん。ロリ顔巨乳の腹黒でしかも声が阿澄佳奈さんという狙いまくったキャラです。阿澄さんというとラジオでののっぺりとしたトークが強烈に印象に残っているのですが、それは置いといて、実際今回の事件をネタに何か企むってのは可能なんでしょうかね。芸能事務所同士の癒着を争点に持ってくるか、それともあの丸いヒトをどっかに売り飛ばすか、という程度でしょうか。前者は元々「いとこ程度には関わってる」のは世間的にも知られてますから、特に問題ない気がします。後者は実行するとやばいでしょうが、あのヒトは業界内で顔が売れてますから、いきなり行方不明になると予想外の問題を引き起こす気がします。……となると、やはり「しゃぶれよ」か。
 ちょっと話が逸れすぎたので軌道修正。魔王エンジェルとはその名の通り魔王の如き実力を持ったCPUアイドルユニットとしてゲームに登場していただけなのですが、漫画「relations」において「勝つためには手段を選ばないライバル」という新たなキャラ付けを受けて登場した三人組です(よって、実質的に漫画オリジナル)。しかし過去には真面目に活動していたという話もあって、その辺りのドラマが見所の一つだったわけですが、今回登場したともみさんもそれを踏まえたキャラクターになっていますね。ランクの低い愛ちゃんを助ける義理は無いし、上手くやれば765プロの力も削げるかもしれないという状況に対し、「もうしばらくはやらせておこう」と提案するのは、魔王エンジェルの複雑な過去を受けてのものでしょうし、「りんと違ってまっすぐな子」と言っちゃう辺りは、それでも現状の二人の付き合いの長さを感じさせるものになってます。いや、さり気ない毒とも言えますが。トークでDisり合うアイドルユニットという方向性も、モモノキを聞いていればアリな気がしますし。


 そして、「母は強し」という言葉。まだ子供だから「母親」と「アイドル」を完全に分けて考えることができなかったというよりは、単純な「勝敗」に囚われすぎていたという感じでしょうか。愛ちゃんはアイドルとして名を上げるのも重要でしょうが、それよりも自分の中にある母親のアイドル像を修正すべきだという話が前回語られていましたから、要は納得が得られれば勝敗は関係ないのです。それは伊織も同じで、今回の「正しい勝ち方」という言葉に繋がってるんでしょう。ここにもし千早がいれば「『納得』は『誇り』なのよ」という風にアドバイスしたと思われますが、そもそも「正しい勝ち方」って言葉自体がちょっとジョジョっぽいなあとか思ったりなんかしちゃったりなんかして。
 最後はいつもの星雲雀。登場するたびにあの曲がかかるので、すっかり765プロ御用達みたいなイメージがあったのですが、実際にPが通ってることが判明し、しかもそれを利用して情報をリークさせるとは、さすが元トップアイドル、頭脳戦艦ガルもお手の物、「盗み聞きさせる」という言葉もウィットに富んでます。そして「敗北を知りたい」というどっかの死刑囚みたいな台詞とともに復帰を宣言。確かに、愛ちゃんは今の段階ではまだトップアイドルの母親の幻想にとりつかれていますから、そげぶするには負けるのが一番手っ取り早いのでしょうが、それでも私には柚姉さんが負ける姿は想像できません。私も柚姉さんの幻想にとりつかれています。あと柚姉さんと言えば、「家族なんて昔は便利な言葉だとしか思わなかった」という辺りは柚姉さんの迷言から来ているんでしょうね。これ、私のために入れてくれたんだよ、うわーい。
 冗談は置いといて、この舞さんからはちゃんと家族愛を感じます。アイドル時のフリーダムさがインパクト強すぎるせいで忘れがちになりますが、前回の曲に関する想いと共に、地味ではありますが舞さんが「大人」「母親」として描かれていて好きです。しかしフリーダムさもちゃんとあるので、基本は明るく根は真面目という、心から人生を楽しんでる人なんだということが伝わってきます。舞さんのキャラクターの本質ってやっぱり「強い」じゃなくて「楽しそう」ですよね。ホント柚姉さんにピッタリだ……いや、ここは冗談ではなく、風野君自身が「具体的な声がついてキャラがイメージしやすくなった」と言っていたので、実際に「柚姉さんにピッタリな日高舞」としてキャラクターを確立し直したようです。
 後はまとめて小ネタでも。愛ちゃんと春香さんの会話は、たぶんモンティ・パイソンですね。ただ、私は風野君の描く春香さんをまだ理解しきれていないので、この話について平然とホラを吹いているのか、春香さん自身が信じて喋っているのかは、ちょっとわかりません。もう一つあの人の登場時の「なんだ! このおんがくは!」はサガ2が元ネタですね。時代劇に出てくるような悪代官みたいな奴らが「おぬしも悪よのう」的なやり取りをしていたら突然正義のテーマに音楽が変わって主人公達が乗り込むシーンで、その悪代官がそのままこの台詞を言います。いろいろとフリーダムなサガシリーズでも、この手のギャグは珍しかったので私も笑った記憶があります。なお、リメイク版でも同じように再現されていますが、「懐かしいネタ」と言ってるかぎり、舞さんはリメイク版はやってないみたいですね。


 最後に非常に地味なネタですが、Pが反転したのってこれが初めてですよね。今まで向きとか気にしてなかった、というよりPは大体右端に置かれていたと思うので、ちょっとだけ笑っちゃいました。向きあったんだあいつ。