僕はもう、追いかけはしない

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 ゲーッ!遅れすぎにも程があるだろ!というツッコミをすると自分にも返ってくる私、石川です。
 私はお仕事でいろいろと忙しかったんですけどね。そういや風野君も忙しくて時間が取れない、みたいな状況はあるはずなのに、その手の話題には出しませんね。
 趣味なんだから、本業で忙しいみたいな言い訳はどんどん使っていって良いと思うのですよ。なんかこう、「言い訳するな」とそこかしこで言われたり言ってしまったりしてる身としては「言い訳」という言葉の意味を時々考えてしまいます。どうしてこの言葉を使うと後ろめたい気持ちになるんでしょうかねー。


 トップアイドルになるという表向き?の目的があって、その流れの中で人間関係とかトラウマとかが修正されていくというのがアイマスのゲームで起こっていることですが、この流れは実に少年漫画的です。その辺りから「アイマスは見た目よりも硬派」なんて言われたりすることもありますが、まあ普通にギャルゲーだと思います。ただ選択肢を選んで進めるノベルゲーではなく、ときメモ等のステータスを上げるとストーリーが進むギャルゲーの系譜(もっと言えば「同級生」「卒業」辺りから続く)でしょうか。今考えるとときメモは主に藤崎詩織のせいでかなり硬派な部類だと思うのですが、それに比べればストーリーラインが硬派なだけで、アイマスのゲーム自体はヌルいものです。
 さて、そんな与太話は置いといて、愛ちゃんの物語も一応の完結を見たようです。上で書いたようにトップアイドルを目指すのがアイマスのゲームの目的ですが、このマイアスの物語の中の愛ちゃんはアイドルとしての才能は乏しく、ある程度までは行けても……という程度の実力しかありませんでした。じゃあそこにどうやって物語を作るのか?負けてバッドエンド?というのもちょっと予想してたんですが、どうやら本人にとって納得の行く着地点を見つけるというのが目標だったようで。結局876の三人は全員トップアイドルよりもその辺りの問題解決の方にテーマを持っていってましたね。
 思えば、初登場時から愛ちゃんは母親の舞さんと確執がありました。好きだけど何故か納得できないというもやもや感が何度か書かれており、そんな気持ちでステージに立っても中途半端になっちゃいますわな。一方で舞さんもアイドルとしては完璧でも、娘のもやもや感を感じ取って自分なりに考えるという二つのストーリーがありました。
 その二つが繋がったのが今回ですが、メール一つで解決かよ!と思わずツッコミを入れてしまいました。しかしそれは言ってしまえば純粋に娘を応援する母親という関係が無かったのだろうとも想像できて(珍しいと言ってたし)、ならメールでテンション上がっても仕方ないかと思えます。アイドル像にしろ母親像にしろ、娘を応援する気持ちがあるなら、22話冒頭で寝坊した娘とかにもうちょっとなんか言って然るべきでしょうし。
 そしてその展開の中で感心したのが、「声が大きい愛ちゃん」を表現するための強調表現が最後の最期で伏線として機能したことです。愛ちゃんの声は本当に無駄に大きいので(ゲームでもセーブ時等にその力強さは遺憾なく発揮されています)、もうちょっと肩の力を抜いた方が良いんじゃないかとか、あの「ALIVE」って曲は愛ちゃんのキャラには合わんだろとか思ってた疑問がここで解決されて気分良くなれました。しかもこれを動画上の表現にすることで、言葉にせずとも理解できるのが気持ちよかったです。
 逆に舞さんがアレな事になっていますが、これも舞さん側のストーリーからすると自然な流れになっていて、単なる動画のオチじゃないところは上手いと思いました。「アイドル」か「母親」かという二つの在り方を考えた上で、出てきたのはどちらでもない「子供」であり、しかもそれを指摘するのがアイドルの中では最年長のあずささんという逆転現象。普段二次元に浸かりきっていると忘れがちですが、二十歳って普通に子供ですからね。小学生の時なんかは「大学生ってオトナー!」とか思ってましたが、いざ自分がその年齢になって社会に出てみると、二十歳どころか三十路でも若手扱いが普通ですからね。そして舞さんに弱点があるとすれば、アイドルとしてでも母親としてでもなく、短かった子供時代にこそあるのではないかという落としどころも「接触編」の最初から続いた伏線になっていて、とにかく構成が上手かったです。
 ただそれでも文句を言うなら、ちょっと今回は本筋に関係の無い話が多かったかなというところでしょうか。伊織とかほぼ愚痴しか言ってませんから、「日高愛のために765皆で頑張る」という流れからするとむしろあっちゃならないところだと思います。たぶん真と美希を出すポイントが他に無かったからなんでしょうが(恐らく前後編合わせてオールスターを狙ってるはずです。彼はそういう人です)、それならもうちょっと良い話にすれば良いのにって気がしました。まあ皆で愛ちゃん持ち上げまくるとそれはそれでうそ臭いですし、765の皆が本気出すと愛ちゃんが霞んじゃうでしょうから。皆が皆現場で一つになれるほど人は分かりあえていませんし、でもそう思わせるのがステージに立った愛ちゃんということで、メトロン星人的に落としておきましょう。


 霞むと言えば、結局社長は社長でしたね。実は徳丸さんが亡くなられてから高木順一朗社長を出すかどうかかなり悩んだらしいんですが(亡くなられた直後の20.5話以降姿は出ていません)、亡くなったからといって出さなくするのはそれはそれで失礼なんじゃないかという結論に達したようです。それは教養講座ボカン編等(特にイッパツマンの三番の件でしょうか)でも言ってますしね。今もそのキャラクターと、そこに吹き込まれた声は生きてるんですから。大体、「失礼」を言うなら二次創作自体が〜みたいな話になっちゃいますし。
 そんな社長、実は日高舞さんの恩人でもあったという設定が登場し、もうどんだけすごいんだこの人。アイマス世界の社長は大抵「変なトラブルを持ち込むダメ人間」か「なんでもできるジョーカー」として解釈されると思うんですが、これはもう徹底的に後者ですね。あのビジュアルといい一人だけアニメーションといい、存在自体が卑怯なのにやられても悔しくない。いや、悔しくないのは私がJ9好きだからかもしれませんが。
 それと今回のゲストキャラ。これはマイリスコメントでも書いてますが「声が大塚芳忠の人」、つまりアイマス2における高木順二朗社長のキャラなんでしょうね。順一朗社長が連絡して動かしたのは間違いないでしょうし。
 ちなみにキャラは「機甲創世記モスピーダ」に後半から登場した敵エースパイロットのバットラーです。ただこのキャラ、声は確かに芳忠さんなんですが、モスピーダの敵ってエイリアンが進化して次第に人間のようになっていく、という流れで登場したキャラなので、ぶっちゃけ出番自体も少ないですしほとんど喋りません。敵にも穏健派と過激派がいてその過激派筆頭といった立ち位置だったのですが、戦闘力が高い代わりに知性はあまり高くないというか言語系の進化は遅めだったという感じでして、しかもこれって芳忠さんの仕事の中ではかなり初期の部類でしたから声のイメージも結構違いますよ。もうちょっとわかりやすいところにすれば良いのに。私なら似蛭田妖君(3年奇面組)とかにしてギャップ萌えを狙いますね。
 それと予告では「あの男が帰ってくる」と言いますが、アイマス世界の男なんて数えるほどしかいないので誰かはなんとなくわかりますが、今度は「誰」にするんでしょうね。


 あ、最後に。23話の「千早風に言うなら」が本当に再現されるとは思ってもみませんでした。千早さんある意味で単純すぎるだろ。